翔ける蒼
眩しいギラギラ太陽。照りつけられた地面は熱を帯び、呆れるほど、清々しいほど暑い。マジでくたばる5秒前。
「お疲れ!はい、ドリンク」
天使から、ふと差し入れをいただく。ああ、麗しきセデュース!我、そなたと契約の契りを交わすことを切望する!
・・・麗しきセデュースというのは、陸上部の部長、小浦香苗のことだ。
ああ、香苗。どうして貴女は香苗なの?
「こら!優陽!人の話聞いてる?」
「先輩の話は愚か、吐息すら聞き逃しません」
「キモい」
ああ、その冷ややかな目も最高!そのスパイクで踏みつけて下さい!血まみれバッチコーい!
「ま、キモいのはいつものことか」
香苗がにへっと笑う。
いつも部長として、陸上部の部員を取り仕切る彼女は、しっかりものとして有名だが、たまに見せる笑顔はとても可愛い。校内にファンクラブがあるとかないとか。
あったら、即刻殴り込みに行く。で、全員ぶん殴っちゃうんだから!
「香苗ー!」
「今行くー!」
女子部員に声をかけられ、先輩が練習に戻っていく。ああ、後ろ姿も可憐やで・・・!思わず、胸熱。
と、その時だった。
ポツリ、と雨が降り始めた。すぐに激しくなる雨。お天道様がお怒りじゃー、おたすけべー!
「みんな、校舎へ避難して!」
先輩が大きな声で部員に声をかける。部員は、「きゃー」とか「おぎゃー」とか「ふんぎょー」とか言いながら、校舎へ戻っていく。
俺も戻ろう・・・、そう思うと、先輩はせっせとコーンやメジャーを片付けている。しかも、かなり楽しそうに。
「先輩、やんでからでいいじゃないですか」
「いや、でも後回しにするより、今やった方が絶対いいからさ」
雨は激しくなる一方だった。でも、そんなことお構い無しに先輩は、「うりゃー」と言いながら片付けている。
俺も手伝わなくては。透けブラが拝めるかもしれない。
「先輩、ハードル持ちます」
「おー、助かるよ。重いんだよ、コレ」
先輩の顔だけ、快晴だった。ま、まぶちい!女神がここにいる!
「ひゃー!」
片付けが終わり、校舎へ二人でダッシュで入る。
「いやー、いい女がずぶ濡れだぜ!」
先輩はあっはっはと嬉しそうに快活に笑った。
俺もずぶ濡れだった。というのも、先輩が途中で俺をスッ転ばしたからだ。お陰様で、地面をスライディングするはめになり、泥まみれさ!でも、先輩はめちゃくちゃ可愛いので、余裕で許す!むしろ、起き上がりこぼしみたいに何度転ばされても構わんよ!
「およ?何で泥だらけなんだい?」
「全身泥パックです。美容に気をつけていかないと、今の男子学生はモテないんですよ」
「へえ~!」
「だから、雨の日は蛇の目でおつかい嬉しいなで、泥へダイブして、お母さんに説教を喰らうのが習慣化してます」
「ふふっ、優陽は面白いね」
ああー、可愛いわー。マジ可愛いわー、目に100人入れても、痛くないわー。むしろ自ら入れるわ。
「ところで!」
ずいっと先輩が俺に接近する。濡れているのと、さっきの片付けで息があがっているのか、はあはあといっている。
ラッキースケベとはいきなり訪れる。
「聞いてる?」
「はい、ボクと結婚して下さい。ふつつかものですが、よろしくお願いします。でしたよね」
「もう一回スッ転ばせようか?」
「あれ?じゃあ、優陽のバカ。ボクをキズものにして。責任取ってよね。でしたっけ」
先輩は笑顔になった。そして俺の耳を引っ張り、グラウンドへ連れ出した。なになにー?何するんすか、先輩。
耳を離した瞬間、先輩の見事なドロップキックがいい具合に入る。
ぶっ飛ぶ俺。そして、地面よこんにちは。ハロー!アニョハセヨ!
「ばっぷぅ!」
わーい!泥大好きぃ!アヘ顔タブルピース!
「もう一回だけ言うよ?明日、何曜日だい?」
「日曜日かもしれません。しかし、日曜日の休息というものは、月曜日を考えると、全く持ってムダだと思いませんか?」
「ニーチェになりたいのは分かったけど、話の主旨が全く伝わらない」
あちゃあー、そっかー。てへぺろぉ☆先輩ペロペロォ。うへへ。
「で、部活がないでしょ」
「そうですね。しかし、その部活が無いというのは、無意・・・」
「ニーチェは分かったから」
先輩が少し残念そうな顔をする。
たぶん、俺のオツムについて考えているのだろうが、俺の頭はマジラブリー1000%先輩で出来ているので、全く残念じゃないです。ん?なんでそんな目で見るの?ポトフに入れて煮て食っちゃうぞ!
「だから、暇だったらでいいんだけど、シューズ買いに行かない?一緒・・・」
「分かりました」
「早い!立ち食い蕎麦屋か!」
俺は富士そばが大好きだ!先輩のが好きだけど。先輩の顔にとろろを・・・、いや、なんでもないです。
「今、やらしいことを考えたでしょ?」
「いいえ、全く」
「男子高校生がエッチなことに興味があるのは、分かるけど・・・」
先輩の顔が赤くなる。俺のカブトムシが、コーカサスオオカブトムシになりそうだ。
「そんな、野獣みたいな目で見ないでよ」
「え?僕はいつもこういう目で見てますけど」
「もしもし、警察ですか?」
「先輩になら、逮捕されてボディーチェックされたいです」
ドロップキックリターンズ。いい蹴りだ。満場一致で10点。優勝!
「兎に角、明日の10時に飯田橋。おーけー?」
「了解です」
俺は先輩に蹴られたみぞおちを優しく撫でた。鈍痛は練習での疲れを増幅させる。
でも、愛の力でどうにでもなる。いやー、愛ってすげーや。スパイダーマンくらいすげーや(超適当)。
うーん、よく寝れた。朝陽よ、おっはよーございまーす!13秒寝れればよく寝たことになるよね。決して浮かれているワケじゃないよ!そして、浮かばれない俺の恋。むきー!
しかもまだ4時!早起きっていいなー。あ、まだ朝陽が上がってないよ!早とちりしちまったぜ。でへへ。
よし、とりあえず着替えるか・・・。オールしまむらっていう素晴らしいファッションでコーディネートだZE☆
うーむ、朝飯はソイジョイでいいよね?今日をエンジョイするために。
「喉乾いた…」
冷蔵庫へ1日置いた水道水を取り出す。どうも東京の水ってこうしないと飲めない。
でも、先輩の口移しだったら、100リットル飲むことも造作ないさ、心配ないさ。
そういえば、先輩と出掛けるのって初めてだな。
俺は先輩の事が好きすぎて生きるのがツラいけれど、先輩のことはあまり知らない。
知ってるのは、可愛いのと、綺麗なのと、美しいのと、麗しいことだけだ。うーむ。無知ってイヤだな。
明日は(正確には今日だが)少しでも先輩のことを知れたらいいな・・・。
…で、なんで遅刻するんだよぉぉぉ!!意味分からん!
この世には理解出来ないことが沢山あるんだな。
電車に乗って、急いで飯田橋へ。もっと早く動けよ、熱くなれよ!
すると、携帯が鳴った。マナーモードにするのを忘れたため、「いやーん!スケベ!!」という着ボイスが車内に流れる。
車内が凍りついたようだが、俺は先輩からメールが来たため、そんなことどうでもよかった。鼻くそくらいどうでもよかった。
「お疲れ!はい、ドリンク」
天使から、ふと差し入れをいただく。ああ、麗しきセデュース!我、そなたと契約の契りを交わすことを切望する!
・・・麗しきセデュースというのは、陸上部の部長、小浦香苗のことだ。
ああ、香苗。どうして貴女は香苗なの?
「こら!優陽!人の話聞いてる?」
「先輩の話は愚か、吐息すら聞き逃しません」
「キモい」
ああ、その冷ややかな目も最高!そのスパイクで踏みつけて下さい!血まみれバッチコーい!
「ま、キモいのはいつものことか」
香苗がにへっと笑う。
いつも部長として、陸上部の部員を取り仕切る彼女は、しっかりものとして有名だが、たまに見せる笑顔はとても可愛い。校内にファンクラブがあるとかないとか。
あったら、即刻殴り込みに行く。で、全員ぶん殴っちゃうんだから!
「香苗ー!」
「今行くー!」
女子部員に声をかけられ、先輩が練習に戻っていく。ああ、後ろ姿も可憐やで・・・!思わず、胸熱。
と、その時だった。
ポツリ、と雨が降り始めた。すぐに激しくなる雨。お天道様がお怒りじゃー、おたすけべー!
「みんな、校舎へ避難して!」
先輩が大きな声で部員に声をかける。部員は、「きゃー」とか「おぎゃー」とか「ふんぎょー」とか言いながら、校舎へ戻っていく。
俺も戻ろう・・・、そう思うと、先輩はせっせとコーンやメジャーを片付けている。しかも、かなり楽しそうに。
「先輩、やんでからでいいじゃないですか」
「いや、でも後回しにするより、今やった方が絶対いいからさ」
雨は激しくなる一方だった。でも、そんなことお構い無しに先輩は、「うりゃー」と言いながら片付けている。
俺も手伝わなくては。透けブラが拝めるかもしれない。
「先輩、ハードル持ちます」
「おー、助かるよ。重いんだよ、コレ」
先輩の顔だけ、快晴だった。ま、まぶちい!女神がここにいる!
「ひゃー!」
片付けが終わり、校舎へ二人でダッシュで入る。
「いやー、いい女がずぶ濡れだぜ!」
先輩はあっはっはと嬉しそうに快活に笑った。
俺もずぶ濡れだった。というのも、先輩が途中で俺をスッ転ばしたからだ。お陰様で、地面をスライディングするはめになり、泥まみれさ!でも、先輩はめちゃくちゃ可愛いので、余裕で許す!むしろ、起き上がりこぼしみたいに何度転ばされても構わんよ!
「およ?何で泥だらけなんだい?」
「全身泥パックです。美容に気をつけていかないと、今の男子学生はモテないんですよ」
「へえ~!」
「だから、雨の日は蛇の目でおつかい嬉しいなで、泥へダイブして、お母さんに説教を喰らうのが習慣化してます」
「ふふっ、優陽は面白いね」
ああー、可愛いわー。マジ可愛いわー、目に100人入れても、痛くないわー。むしろ自ら入れるわ。
「ところで!」
ずいっと先輩が俺に接近する。濡れているのと、さっきの片付けで息があがっているのか、はあはあといっている。
ラッキースケベとはいきなり訪れる。
「聞いてる?」
「はい、ボクと結婚して下さい。ふつつかものですが、よろしくお願いします。でしたよね」
「もう一回スッ転ばせようか?」
「あれ?じゃあ、優陽のバカ。ボクをキズものにして。責任取ってよね。でしたっけ」
先輩は笑顔になった。そして俺の耳を引っ張り、グラウンドへ連れ出した。なになにー?何するんすか、先輩。
耳を離した瞬間、先輩の見事なドロップキックがいい具合に入る。
ぶっ飛ぶ俺。そして、地面よこんにちは。ハロー!アニョハセヨ!
「ばっぷぅ!」
わーい!泥大好きぃ!アヘ顔タブルピース!
「もう一回だけ言うよ?明日、何曜日だい?」
「日曜日かもしれません。しかし、日曜日の休息というものは、月曜日を考えると、全く持ってムダだと思いませんか?」
「ニーチェになりたいのは分かったけど、話の主旨が全く伝わらない」
あちゃあー、そっかー。てへぺろぉ☆先輩ペロペロォ。うへへ。
「で、部活がないでしょ」
「そうですね。しかし、その部活が無いというのは、無意・・・」
「ニーチェは分かったから」
先輩が少し残念そうな顔をする。
たぶん、俺のオツムについて考えているのだろうが、俺の頭はマジラブリー1000%先輩で出来ているので、全く残念じゃないです。ん?なんでそんな目で見るの?ポトフに入れて煮て食っちゃうぞ!
「だから、暇だったらでいいんだけど、シューズ買いに行かない?一緒・・・」
「分かりました」
「早い!立ち食い蕎麦屋か!」
俺は富士そばが大好きだ!先輩のが好きだけど。先輩の顔にとろろを・・・、いや、なんでもないです。
「今、やらしいことを考えたでしょ?」
「いいえ、全く」
「男子高校生がエッチなことに興味があるのは、分かるけど・・・」
先輩の顔が赤くなる。俺のカブトムシが、コーカサスオオカブトムシになりそうだ。
「そんな、野獣みたいな目で見ないでよ」
「え?僕はいつもこういう目で見てますけど」
「もしもし、警察ですか?」
「先輩になら、逮捕されてボディーチェックされたいです」
ドロップキックリターンズ。いい蹴りだ。満場一致で10点。優勝!
「兎に角、明日の10時に飯田橋。おーけー?」
「了解です」
俺は先輩に蹴られたみぞおちを優しく撫でた。鈍痛は練習での疲れを増幅させる。
でも、愛の力でどうにでもなる。いやー、愛ってすげーや。スパイダーマンくらいすげーや(超適当)。
うーん、よく寝れた。朝陽よ、おっはよーございまーす!13秒寝れればよく寝たことになるよね。決して浮かれているワケじゃないよ!そして、浮かばれない俺の恋。むきー!
しかもまだ4時!早起きっていいなー。あ、まだ朝陽が上がってないよ!早とちりしちまったぜ。でへへ。
よし、とりあえず着替えるか・・・。オールしまむらっていう素晴らしいファッションでコーディネートだZE☆
うーむ、朝飯はソイジョイでいいよね?今日をエンジョイするために。
「喉乾いた…」
冷蔵庫へ1日置いた水道水を取り出す。どうも東京の水ってこうしないと飲めない。
でも、先輩の口移しだったら、100リットル飲むことも造作ないさ、心配ないさ。
そういえば、先輩と出掛けるのって初めてだな。
俺は先輩の事が好きすぎて生きるのがツラいけれど、先輩のことはあまり知らない。
知ってるのは、可愛いのと、綺麗なのと、美しいのと、麗しいことだけだ。うーむ。無知ってイヤだな。
明日は(正確には今日だが)少しでも先輩のことを知れたらいいな・・・。
…で、なんで遅刻するんだよぉぉぉ!!意味分からん!
この世には理解出来ないことが沢山あるんだな。
電車に乗って、急いで飯田橋へ。もっと早く動けよ、熱くなれよ!
すると、携帯が鳴った。マナーモードにするのを忘れたため、「いやーん!スケベ!!」という着ボイスが車内に流れる。
車内が凍りついたようだが、俺は先輩からメールが来たため、そんなことどうでもよかった。鼻くそくらいどうでもよかった。