恋のナミダ。
「あぁ゛~~~~っ…」
「なんちゅう声出してんのよアユっ!!」
机に倒れこむ私の頭を、淳がペシっと叩いた。
なぜ私がこんな怪物のような声を出しているのかというと、
さっき淳に言われたコトが原因だ。
「あんたの寝顔。全員が見て笑ってたよ。」
笑ってたよ…笑ってたよ…笑ってたよ…………
「嫌だ…ウチ嫌やぁ~…!!!」
私は涙声であがく。
「なんでか言ってくれなわから~んっ!!」
淳は困った顔で叫んだ。
椅子の後ろにもたれかかり、椅子の足をカツカツいわせる。
「小っちゃい子かよお前はぁーっ。」
そこにトコトコやってきて笑っているのは、二宮 春紀。通称『ハル』。
入学式の日に知り合ってから仲良くしてる男友達だ。
「うっさいよ~、もうほっといて~っ」
私は腕で顔を隠す。
「寝顔も小っちゃい子みたいだったしぃ~。」
女子みたいな口調でハルの後ろからやって来たのは、相沢 涼。通称『赤ピンくん』。
いつも長い前髪を、赤いピンでゆるくとめているからである。
「ばっ!!!やめてよっ!!そのコトは忘れてっ!!!!」
私はガバっと起き上がり赤ピンくんに叫んだ。
「え~、でもアユの寝顔…
赤ピンくんが何か言おうとしたとき、廊下から奇声が聞こえてきた。
「奇声」というか…「奇声に近い歓声」が……。
そこにはほかのクラスの女子の人だかりがある。
その中から私たちの方へと走ってきたのが、中山 悠斗。通称『ゆう』。
こいつは学校中でファンがたくさん居るほどのモテ男で、
皆に、いや、男子に恨まれている…ではなく、
結構男子のも頼りにされ、好かれている人気者である。
「ごめんー!!遅刻したわーっ」
ゆうは適当に机にスクバを置いた。
「おいおいおいおい、女子引き連れて登場すんなよっ」
赤ピンくんはゆうの方の肘をかけ、あきれた様に言った。
「いやや、引き連れて来たわけじゃねーしっ。」
ゆうは苦笑いで答えた。
作品名:恋のナミダ。 作家名:misyu∪ゝω・)ノ♡