恋のナミダ。
私は〝菜々瀬 アユミ〟。
ここ桜木高校に通う17歳だ。
今、私の目の前は真っ暗だ。
ほほが冷めるのを確認すると、私はゆっくりと手を机に置いた。
でも、まだ担任の顔は煮えたぎっている。
てか、さっきより増してるような…
「何が、あっだっ!!」
「いや…その…」
私が戸惑っていると、担任はため息をついて
「罰として居残りだなっ。」
と吐いて黒板の前へ速足で移動した。
「え、ちょっちょ、え、えぇ?」
担任の履いた言葉に私は戸惑う。
すると担任はチョークをカツカツいわせながら
「皆は菜々瀬みたいに寝るんじゃないぞーっ」
とさっきとは全く違う声で呼びかけた。
「はぁっ…」
私はかすれた目をこすり、、窓の外に目をやった。
窓のガラスには、2つにくくられた髪がほどけかけている自分の姿が見えた。
「はぁっ…」
私はもう一回ため息をつき、ほどけかけている髪をくくり直した。
あぁ~、せっかくセットした髪がぁ~
私は心の中で泣いた。
トントンッ。
すると誰かが私の肩をやさしく叩いた。
「ん?」
私はヘアゴムをくわえたまま後ろを振り返った。
するとその子は小声で言った。
「ごめんね…起こせなくてさ…。」
申し訳なさそうな顔で私も見ているこの子は、〝加藤 淳〟。
私の小さい頃からの親友だ。
「いいよ別にー。大丈夫っ。」
私はヘアゴムで髪をキレイにくくり直すと、
にっこりと笑って淳に言った。
すると淳は少し二ヤついて、
「アユ…。すごい前のめりで寝てたよー。それに…」
と肘をついてクスクス笑った。
「え、なになに!?」
私はつい大声になる。
そしたらいつか言われるだろう言葉が後ろから聞こえてきた。
「そこは何をしゃべっているんだっ!!!加藤も居残りかー?」
「あとでっ。」
淳はニタりと笑って言った。
「う…うんっ」
私は淳の話が気になったものの、
前を向いて肘をついた。
すると私の視線は窓へと移る。
ふとグラウンドに目をやると、どこかのクラスがサッカーをしている。
たぶん同じ学年だ。
すると一人の男子が、シュートをして点を決めた。
「すっご。」
私はつぶやいた。
窓から声は聞こえないが、
男子たちが騒いでいるのが分かる。
私はなんだか笑みがこぼれた。
なんでか分かんないけど。
すると授業が終わるチャイムが鳴った。
私は窓から視線を外すと、ふと思った。
私、どんだけ寝てたんだろう…。
作品名:恋のナミダ。 作家名:misyu∪ゝω・)ノ♡