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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 5 砂漠と草原の王

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 アムルがそう言ってアレクシスの首筋を手刀で打つと、アレクシスは気を失ってぐったりと地面に倒れ伏した。
「さて、と。ちょうど昼時であることだし、アレクシスが頭を冷やして目を覚ますまで飯にでもしようかのう。皆も座るがよい。」
 そう言ってアムルが指し示した方にエドが視線を向けると、いつの間にか地面に敷物が敷かれ、色とりどりのフルーツやパンや料理の入ったバスケットが置かれていた。
「・・・いつの間に。」
「はっはっは。こんなこともあろうかと思って、供の者にもたせておいたのだ。」
「供って・・・そんなの居なかったような・・・。」
「はっはっは。我の腹心は恥ずかしがり屋なのでな。普段から姿を隠しておるのじゃよ。実は我ももう一年ほど姿を見ておらぬ。まあ細かい事はよいではないか。皆も早くこっちへ来て座るがよい。」
 そう言いながら敷物の上にさっさと腰を下ろすと、アムルはおもむろにサンドウィッチを手に取り、口に運んだ。
 その様子を見て、エドのお腹がグゥと音を立てた。
「あ・・・。」
「はっはっは。良いぞ良いぞ。あの少食で、そのうち食べなさすぎて死んでしまうんじゃないかと心配していたエーデルガルドの腹の音を聞く日が来るとはな。なるほど、人生というのは面白い。」
「そうなんですか?エドって、いつもたくさん食べるからあまり想像ができません。」
 いつの間にかソフィアがアムルの側に腰を下ろして、水筒からコップに移したお茶をアムルに差し出していた。
「そうかそうか。エーデルガルドはそんなに食べるようになったか。そういえば、そなたの名を聞いておらんかったな。そなたはなんと申す?」
「ソフィーティアと申します。親しい人はソフィアと呼びます。以後、よろしくお願い致します。王様。」
「ふむ・・・ソフィアか。ところで、お主には・・・」
「おりませんよ。」
 アムルの言葉を途中で遮って、にっこりと笑いながらソフィアが答える。
「・・・おらんのか?」
「ええ、おりません。」
「そうか。相手はおらぬか。であれば遠慮はいらぬな。ソフィア、お主今夜、我の閨に参れ。」
「・・・え?」
「はっはっは、お主はなかなかに気が効くようだから、我が直々に褒美を取らせようというのじゃ。まさか、嫌だとは言うまいな。」
 ソフィアは、チラリとレオの方へ視線を送るが、レオは少し離れたところで何やらクロエとヒソヒソと話をしていてその視線に気づく様子もない。
「・・・はい。では、今晩伺います。」
「ちょ、ちょっとソフィア?」
「さすがにちょっと今回のことは私も頭にきたから。放っておいてくれるとうれしいな。」
「う・・・うん。わかった・・・。」
 エドは、ソフィアの迫力に気圧されるようにして頷いた。