卒業は絶望への架け橋だよ… 〜一日目〜
春。桜吹雪を起こし、学生が行き交う通学路。
そこに、一際目立つ学生が一人。
「ハァハァ。重すぎだろ。殺す気か!クソッ」
周りの目が痛い。痛すぎるほど感じる。
「ちょ、あの荷物なにっ!キモッ」
「ちょっと、シー。聞こえるって。」
いやいやいやいやいやっ!シーとか言って、一番聞こえてんだけど…
しかし、周りから「キモがられる」のも無理がない。
なにせ、両手に大量に詰め込まれたバック。それに、肩は妙に膨らんだバック。
「清々しく歩いてる方がキモいだろう。」
というと、手が紅色に輝いていた。俺は、指輪を見て、微笑んで見たり。
そんなことをしているうちに、校門だった。
校内にどんどんとバスが入っていく。
「俺も、あれに乗るはずだったのに。クソッ」
大体…と呟いていると
「珍しく、君と同意見だよ。(あぁ、疲れた)」
「()丸聞こえなんだけど。って、ハクかよ。(嫌な奴にあったなぁ)」
「…お前も()聞こえてるが「マジかよ!えぇ…」なっ。人が喋ってる時に」
なんともしょうもない言い合いだろう。ナレーターの私まで思う。
ゴホンっ。えっと…いきなりハクという少年が現れました。
「お前も、乗り過ごしか。珍しいな(クスッ)」
「違う。お父様の仕事に付き合わされただけだ。そのくせお前は」
ハァと、ため息をつくと「あのなぁ!」と胸ぐらを掴むように手を伸ばしてみると
パァン!!!
伸ばされた手を弾いて、ハクはその人を睨みつけた。
「化物が俺に触るな!!」
その一言を吐き、校内へ消えていく。その姿を後ろから見ていた。
「・・・・・俺は。ここに来ても。化物…なんだな。」
そう言って、歩いていく。一瞬、太陽が雲に隠れ、影を作った。
その、後ろ姿は寂しくもあり。そして、歩く後に
赤い液体が、嫌な臭いを漂わせていた。
ポツリ、ポツリ。地面に残る赤色は。
雲と共に消えていき、太陽が眩しく輝いていた。
「あれ、これは誰のだろ。指輪みたいだけど。あっ名前みっけ!
えっと…コハク?」
少女は、指輪を見るなりすぐさま歩いてしまった。
紅色に輝く指輪をはめて。
作品名:卒業は絶望への架け橋だよ… 〜一日目〜 作家名:コハク