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たぶん、ホラー小説ではない一部始終

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 そこは、名古屋市内を走る市営地下鉄の今池駅だった。電車乗り換え用の長いエスカレーター(上下横2列)には、土曜日ということもあり、たくさんの利用者がいた。雨のため、ほとんどの人は傘を持っていた。床には、雨水の足跡がついている。
 そして、利用者の中には、その中には、やまさんの姿もあった……。上りのエスカレーターの左側で立っている彼は、リクルートスーツを着ており、いかにも疲れているという様子を醸し出していた……。

「こんにちは、やまさん」

 いつのまにか、高校生ぐらいの少女が、やまさんの隣りに立っていた……。ミニスカートとタンクトップを着た茶髪のその少女は、エスカレーターの右側に立っているので、よほど急いでいるらしい利用者が、エスカレーターの右側を歩くのをあきらめることとなった。
 やまさんが、チラリと隣りに立っている少女の顔を見てみる。すると彼は、『やれやれ、疲れているのに……』という表情で、
「なんだ守山か」
と、ただそうつぶやいた。めんどくさい奴が出現したという感じだ。

 その少女は、やまさんが書いている小説『司令官は名古屋嬢』の脇役である守山笹百合であった……。彼女は、肩からブランドモノのバッグをたすきがけにし、トヨタのクラウン・アスリートのようなショッキングピンク色の大きい傘を閉じて持っていた。小柄な彼女からすると大きい傘から、今まで雨にうたれていたかのように雨水が滴っていた……。

 突然現れた彼女は、やまさんの嫌そうな表情と口調にムッとして、
「なんだとはなによ! わざわざ現れてあげたのに!」
守山は、もうすでに怒り始めている……。怒りやすい美少女キャラクターである。ただ、誤解のないように言っておくと、守山はやまさんのことが好きということではない。もちろん、その逆も然りである。2人の悪い態度の原因は、そういうことなのであり、ケンカするほど仲が良いというわけではない。
「大須のほうが良かったな」
やまさんは、守山よりはるかにいい性格をしている大須の出現を求めていた。
「あら、残念だったわね?」
守山が煽るような表情と口調で言い返す。



※次のページで繰り広げられる駄文は、やまさんとさーちゃん(守山)との会話(もちろん、フィクション)です。凶暴なトカゲが出現したり、タンクローリーが爆発したりするようなことは無いので、『どこがホラー小説なんだ、コラ!!!』という心理状態に陥る危険性があります。私なら、これを読むのをやめて、やまさんがブックマークしている小説を読みます。(小説『司令官は名古屋嬢』の主役である大須奈菜より)