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真朱@博士の角砂糖
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誘拐犯と結婚詐欺師の3日間

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D3−B

「リサちゃん、こっち向いて」
リサが視線をあげる。私は完璧なタイミングでシャッターを切った。
リサは小さな両手で大きくて真っ赤なリンゴを支え、小さな口で必死でその皮にかぶりついている。
「あーあ、汁たれてるよリサ」
Y君が笑ってティッシュでリサの口元を拭った。
「これたべにくい」
リサの舌ったらずな高い声に心の中で「そりゃあな」とつぶやく。
「ねーSちゃん、切ってあげたら?」
Y君がリンゴを指差して言う。それじゃあ意味ねーんだって。まぁもう撮ったし。いっかな。
「Y君やったげてよ」
「えー無理」
「私も無理」
リサは顎と手が疲れたようでリンゴを口から離した。ほんの少しだけ中身が見えたまあるいリンゴ。ちっちゃな歯形がいっぱい。
「あはは、食べれてないし」
Y君が楽しそうに笑う。何が楽しいんだ、頭おかしいんじゃないのかこいつ。
「リサちゃん、リンゴおいし?」
「リンゴジュースのほうがいい」
「あはは」
Y君がリサの頭を撫でた。でっかい手。あ、リサの頭がちっちゃいのか。そんなこと考えてたらY君が私を見た。長いまつげと金髪が揺れてる。綺麗だ。
「ねーSちゃん」
「なに」
「なんかさぁ俺たち今、家族みたいだよね」
…なんだこいつ。