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リンドウノミチヤ
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KYRIE Ⅱ  ~儚く美しい聖なる時代~

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第2章 接触~Cillian1~



 目の前の大画面に黒煙が立ち昇っている。アナウンサーの声は緊張で上擦っていた。


 中東の小国の首都、近未来的なホテルのロビーで中継されていた粛々としたセレモニーの光景は、テロリストの自爆攻撃の状況を伝えるニュースに切り替わった。

 キリアン。統也は愕然として大画面を、数分前まで彼が存在していた場所を見た。隣で中継を見ていた公爵の顔は蒼白である。サファイアのリングをはめた指が小刻みに震えていた。
 ふと、斜め後ろにいた公爵夫人が視界に入った。騒然としたロビーで、彼女の表情だけはさざ波ひとつたたないかの様に静かだった。夫人は赤毛の秘書に一言二言耳打ちした。そして毅然として背筋を伸ばしこちらに歩み寄り、夫の手を取ると優しい声で部屋に戻るように促した。

 突然、統也の背筋に冷たいものが走った。夫人の白いその横顔は、かつて統也が何度か目にしたものだった。初めて出会った路上で、廃ビルの暗い部屋で、彼は今でもその顔をはっきりと覚えていた。それは彼女の、確固たる意志で持って一線を越えた後の顔であった。

 彼は腹の底に冷えた黒い塊が沈殿するのを感じた。理性で否定する間もなくそれは明確な黒い確信に変わって行った。