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リンドウノミチヤ
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KYRIE Ⅱ  ~儚く美しい聖なる時代~

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第2章 接触~Louis-Seydoux6~




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 部屋に入るなり統也は異臭に気付いた。ルイ・セドゥは大理石のテーブルの横に座り込んでいたがそのシャツは赤く濡れていた。

「無理だ、ここからは聞こえないんだよ、使用人には普段からこの離れには近付けさせていないんだ」

 廊下に向かって大声で呼びかけた統也にルイ・セドゥは言った。この理不尽な状況にあってもどこか達観したような表情だったが、しかしラピスラズリの瞳は食い入るように一点を凝視している。シャツの上からは惨たらしい傷口が見えた。統也は受話器を掴み手早く救急要請をするとそのまま邸内の内線に切り替える。直ぐには事情が呑み込めない様子の使用人に、受話器ごしに強い口調で怒鳴った。

「油断したよ、まさか星がやって来るなんてね」

 搾り出すような公爵の声に統也は振り返った。

「じっとしていろ、ルイ。話さなくていい、今止血するから」

「星だよ、星の目だ」

 そのまま統也の耳元に呟き続け、ルイ・セドゥの皮膚はこの世ならざるものに変色して行った。廊下を走る大勢の足音が近づいてくる。緊張した面持ちの使用人達に混じって公爵夫人の白い顔が見えた。



 (KYRIEⅢに続く)