小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Da.sh Ⅱ

INDEX|7ページ/57ページ|

次のページ前のページ
 

「お前、最近ちょくちょく見かけるようになったがぁ、新顔だな」

 公園のベンチに座って寒さに縮こまりながら、ボーッと帰宅を急ぐサラリーマンたちを見ていると、ホームレスらしき白髪のぼさぼさ頭の男から声を掛けられ、ギョッとした。こういう手合いは、苦手だ。
 なんだか・・・怖い。
 黙って立ち去ろうとしたが、さらに声が追っかけて来た。

「食いもんはあるのかぃ、それとぉ、ねぐらと」

 防寒着のポケットに、手を突っ込んだ。
 小銭で膨らんでいる財布を握りしめた。砂糖入りの缶コーヒーが2回と、ポタージュ缶を飲んだだけだから、残っているのは・・・400円ぐらい、か。
 マクドに行くか夜通し歩き続けるか、だが・・・釣銭あさりだな、稼がないことには。たまにはサウナ行って、あったかい所でゆっくり眠りたいし。
 
 あったかい部屋で寝ている姿を夢想して突っ立ったままでいると、オレの表情を見ていたのか、そいつはオレの耳に囁きかけるほどに近寄ってきた。

「付いてきな」

 プヮ〜ンとした臭い息を吹きかけ、目尻を下げたその男はそう言うと歩き始めた。
 「心配するなって。悪いことするわけじゃぁ、ねえからよ」
  振り返って、さらに目を細めて付け足した。
作品名:Da.sh Ⅱ 作家名:健忘真実