Da.sh Ⅱ
好美と連絡を取ったのは、明日香である。日程を決め、指定席を取ったのも明日香である。
「パパぁ、指定席ふたり分とったからさァ、ママびっくりするぞぉ。上野着は11時35分。パパとそこで待ってるから、ってママには言ってあるから」
そうしてその日、朝早く上野駅を発ち、JR常磐線日立駅で好美が乗り込むのを待っていたのである。
ホームに現れた好美の、久し振りで見るその姿に、胸が高鳴った。ああ、夢じゃない、これからは一緒に暮らせるんだ、と。
隣に座っている好美に、おずおずと語りかけた。
「オレ、変わっただろ・・・見ただけでは分からなかったんじゃ、ないかな」
頭を強調する意味で撫で上げた。
「うふっ」
好美はハンドバッグから携帯を取り出すと、親指をしばらくの間動かしてからオレの目の前に、その画面が見えるように差し出した。
オレの写真と、メール。
《 禿げネズミのパパ ((◎p´∀`)q。o○(( .゚;*.大 好き.*;゚. )) 》
好美は右手をオレの太腿にそっと置くと、頭をオレの肩にもたれさせてきた。
「ちょっと」
オレはその手と頭を押し戻すと、シートを仕切っている肘掛けを立ててから体をにじり寄せ、好美の頭を引き寄せて肩に乗せると、好美の肩に手を回した。好美の手を、オレの太腿の上で堅く握りしめて。
・・・オレは、明日香のパパ、そして、好美の夫。
守るべき家族がいてこその、オレなのだ・・・。