小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Da.sh Ⅱ

INDEX|16ページ/57ページ|

次のページ前のページ
 

 ところが順調に仕事を得ていたのは、初めの頃だけであった。
 後にして思えば、会社の配慮もあったのだろう。家電メーカーの不況に伴い仕事は減っていき、好美のパートの仕事から得る収入を加えても生活が苦しくなっていった。起業のための借金もある。会社を立ち上げた時には銀行もにこやかにして、「いくらでも便宜を図ります」といわんばかりに金を貸してくれた。三ツ星の後押しがあったこともある。
 数カ月もすると、返済のためだけに、オレの収入は消えていった。
 
 プライドもあって、一定の生活費を入れるために、思い切って消費者金融に手を出したのが、運の尽き。
 始めて間もない事業ではあったが見切りをつけて、派遣会社に登録した。不況によって、世間では正社員の採用は控えられていた為に、就職はかなわなかった為である。それでも工場の作業員として、短期更新を繰り返しつつではあるが、安定した収入を得ることが出来た。期間従業員よりも下の扱いではあったが。
 ラインのことに詳しいという理由からフロア責任者を任されたが、それでも待遇はやはり、期間従業員の下。
 不満をつぶやくことイコール失業なので、不満など言えない。しかも体のいい使い捨ての駒にすぎなかった。
 ライン上でトラブルが発生して生産に支障が生じ、納期が遅れ、それによる損失が生じるとその責任を押し付けられて、派遣を切られた。
 
 消費者金融では、簡単に借りられることから気が軽くなって、数社からの借金は、いつの間にか膨らんでいた。
 自転車操業、火の車。
 そうしているうちに取り立てが厳しくなり、逃げるようにして安アパートに引っ越したのだが、取り立て人から逃れることは出来なかった。
 家族を彼らから守るために、離婚をした。
 めぼしいものはこっそりと金に換えて夜逃げをし、ひとり、横浜に行った。
 見知らぬ街、名だたる寿町のドヤで、建設作業の日雇い仕事にありついていたのだが、次第にあぶれる日が続くようになってくると、金が残っているうちにと、昔懐かしい東京新宿にほのかな期待を持ってやって来た、というわけだ。
 ネットカフェで仕事を探・・・。
作品名:Da.sh Ⅱ 作家名:健忘真実