Da.sh Ⅱ
ズルズルと、オレは新宿中央公園の森の中にある、段ボール御殿に居座っていた。もう、ひと月近くになる。
仕事はすぐに覚えた。
朝夕のラッシュアワーが終わった頃に入場券を買って、電車をひと駅ごとに乗り降りしながら、駅構内のごみ箱をひとつずつ覗いていき、棄てられている雑誌を集める。
それらを青空書店に卸す。1冊20円。ジャンプの最新号は高くで売れる。1冊50円。
空き缶はひとつ、およそ2円。
資源ごみは集めて業者に持っていくと、結構な金額になる。
これらの仕事を分担して、協力して収入を得ている。一旦は源さんに金を渡すが、1週間ごとに、必要経費を除いて5人で割った金額を受け取る。1万円程度になっている。食費も宿泊費も必要ない。ペットボトル飲料を買ったり、時々銭湯に行くぐらいなので、金は少しずつだが、貯まっていった。
慣れれば、プライドを捨てさえすればたいして煩わしいこともなく、オレの性分に合っていたのかと思う。
気ままな生活。