さいごの一歩
パパが強気のおかあさんを抱き寄せた瞬間
ママはあたしのもとに帰ってきた。
「ほらね♪ こういう時は逆を攻めちゃうのよ。」
なるほどねぇ。
「好き…。」
そうね。
なかなかいえない言葉かも。
「キライ?」と聞かれると
素直に言えちゃうもんね♪
さすが、ママだわ。
「ママね、なかなか振り向いてくれないパパに
いじわるしながらじゃれつくのが大好きだったのよ。
言葉にはしなくても
ムリヤリ繋いだ手から
大好きは伝わってくるもの。」
そうなのよ。
ママはいつも「パパが一番」で
おはようのキスを
ふたりで奪い合ったりしたね。
やさしいパパのひざの上で
しあわせそうに寄り添ってる
ママを見るのが大好きだったんだよ、あたし。
「ねぇ、のりちゃん。
ママもそろそろ下界に降りて
素敵な人と恋でもしてみようかしらね。」
そだね。
その前に“天使養成学校”とやらで
たくさんたくさんお勉強しなきゃ。
それによってはさ、ママ。
今度は人間に生まれ変われないかもしれないわよ。あはは!