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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(前編)~

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「小さい頃、面倒を見ていたから、そういう意識はないね。」
「デメテルもユクスの面倒を見ていたの?」
 キュオネは、ハルジオンを両手に持ち直しながら、デメテルの方に向き直った。
「レーニスは、ユクスを拾ってすぐに倒れたからね。まあ、もともとレーニス1人で人間の子供の世話は難しかったからね。」
 さっきの様子からは考えられないのんびりとした温かみのある口調でデメテルは昔を懐かしむようにそう答えた。
「すみません…。」
 僕は思わず謝ってしまった。
「ほっとけなかったんだろうね、あなたの境遇はレーニスに似ていたから…。」
「…。」
 僕は、自分が捨てられた原因だと思われる青い色素の薄い髪に触れた。

 生まれた時、身体が弱くて精霊の中で虐げられ、殺されそうになっていたレーニスは、僕を初めて見た時にどんな心境だったのだろうか…。仮にそれが綺麗な理由でなくても、僕は彼女の育てて貰えて嬉しかった。