小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

After Tragedy5~キュオネの祈り(前編)~

INDEX|6ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「遅いから、来てしまったのだけれど…。」
 デメテルの少し控えめな声がした。
 デメテルは、いつまで経っても僕等が戻らなかったので、様子を見に来たようだった。
「おお!ラッキー!!!これ、家まで持って行ってくれ!!!頼んだ!!!」
 キロは、持ってきていたらしい瓶に水を汲むとデメテルに押し付けた。
「…。」
 さすがに、それは無礼すぎるのではないだろうか…。デメテルは、少し黙っていたが、溜息を尽き、キロにそれを押し返した。
「時間がないから、キロ、それは自分で持ち帰ってくれませんか?」
 キロは物珍しそうな顔をしてから、『連れないなー』と言ったことを言いながら、瓶を受け取った。
「キロさんは、行かないんですか?」
「行かない!行かない!あんな所、一生行かないね!」
 僕はキュオネにキロが付いて行かないことが意外だったので聞くと、キロはそんな風に答えた。キュオネはそれを聞くと苦笑いをしている。
「じゃあ、向かってもいいかしら?」
デメテルは、僕等に許可を取ると神界の門に続く道に向かって、歩き始めた。

 シー兄ちゃんの石の牢屋の脇を通り、行きなれた道を外れると神殿へ続く道に出る。
「…。」
 僕は、何とも言えない気持ちになった。神殿までの1本道は14年前と違い、狭くなっていた。雑草などが生い茂り、道と草木を隔てる境目が見えない。
「ユクス、どうかした?」
 デメテルが僕を眺めて聞いてきた。
「道が細くなりましたね…。」
「通る人がいなくなったからね…。よく、レーニスがユクスを連れて歩いていたよね。」