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残雪の山並

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残雪の山並






 西沢智樹がSNSサイトで知り合った山村りさという名の女性に油絵をプレゼントしようと考えた理由は、単純なものだった。彼女が旅先からゆうパックでコーヒー豆を送ってくれたので、それに対するお礼をしようと思ったのだ。返礼の品は何が良いだろうかとさんざん考えた挙句、油絵を描いて渡すことにした。
 梅雨入りまでにはまだ間がある五月中旬前の水曜日の午後、西沢は青鬼(あおに)集落へ行って写真を撮ってくることを決めた。そこは長野県の白馬村の近くの景勝地だ。木曜日と金曜日が連休なので、木曜日の晩に松本に宿泊し、翌日の午前中に青鬼を訪れることにした。
  田植えのために水を入れた棚田に、残雪の美しい白馬連峰が映り込む。その辺りには風情のある古民家が保存されている。駐車場が完備されているらしいので数時間の滞在中に写真を撮影し、少しはスケッチもしよう。
  まずはネットで長野県の天気予報を確認した。文句なしの皐月晴れという予報だった。
 本当はそれを知っていた。この先数日間は全国的に好天が続くと、昨日のラジオで聞いていた。知っていながらわざわざ確認する理由は、自分が雨男、もしくは曇り男だからだった。
  春の安曇野や白馬の辺りの晴天の日の風景の素晴らしさを、西沢は雑誌やガイドブックの写真で知っただけだった。何度足を運んでも、残雪に飾られた北アルプスの山々を見ることはできなかった。


作品名:残雪の山並 作家名:マナーモード