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だるまさんがころんだ

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 「もういいじゃないの、のりちゃん。
 それよりママうれしいわ。 
 やっとママのそばに来てくれるんだもの。」

 「ママのそば?」

 「そうよ、天国でママと一緒に暮らしましょう。
 本当はママ、とっても淋しかったのよ。」

そうね、天国でママと
お気楽に過ごすのも悪くないかもね。

だって、もう疲れちゃった。

そう思ったら
また一段とカラダが軽くなった。

あとは三人で仲良く暮らしてね。
あたし、ママと行くわ。 


さようなら…。



 「そうと決まれば
 早くここを離れなきゃ。 

 さあ、のりちゃん。
 ママにつかまって。」

そのとき
隅っこで遊んでいた遊太が
急に立ち上がって
よちよちと歩き出した。

 「見て、ママ。 遊太が歩いてる!」

おかあさんはまだ
あたしにしがみついてて
遊太が歩き出したのに気がつかない。

倒れそうになりながら
一歩… 二歩…・

あたしのほうに近づいてくる。

 「のんたん、のんたん」

遊太がしゃべったわ。
今、あたしを呼んだでしょ。

遊太は眠くなったのか
とうとう泣き出しちゃった。

 「のりちゃん、なにしてるの! 
 早くママのところに来るのよ!」

ママがあたしを急かすけど
あたし…どうしてもここを離れられない。

 「のりちゃん! 早く!
  早くママにつかまって!」

 
 「のんたん… のんたん…」


遊太が呼んでる。
あたしの子守唄を待ってるんだ…。

 「ママ、ごめんなさい。 
 あたし、やっぱり行かないわ。 
 だって遊太があたしを呼んでるの。 
 子守唄歌ってあげなきゃ
 遊太は寝ないのよ。」

 「なにいってるの! のりちゃん! 
 のりちゃんってば!!」

最後に悲鳴に近い
ママの叫び声が聞こえたけど
あたしは遊太のところへ帰っていった。

一瞬ママの哀しそうな顔が浮かんだけど
あのママのことだもの。 
またケロッとして
お仏壇の写真から
顔を出すにちがいない。

あたし、今度は本当に
目を開けてみた。 

一番最初に見たものは
うれしそうなおかあさんの顔。

パパはあたしに頬ずりした。 
やめてよ、きもちわるぅ~!

作品名:だるまさんがころんだ 作家名:遊花