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超未来

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アドバルーン千恵子は芸能人の名前である。解述によるとマニアックなやまいだれの漢字を調べているとえもいわれぬ快感に襲われ様々な現象の中へ引きずり込まれるのだという。様々な現象とは椛谷現象、野岸現象、阿羅漢現象などがあるそうだが、それが具体的にはどのような現象なのかまだよくわからないという。

超未来の伝送手段に「勢いづくアリクイ」というものがあるそうだがこれは現存するいかなる伝送手段よりもいかに大げさに見積もっても大して進歩がないそうである。また超未来には熟語やことわざが存在せず人々のコミュニケーション上のストレスが社会問題になっているとも聞いた。もしかしてアドバルーン千恵子は未来の星からやってきた、有限会社未来の星の広報宣伝部長なのかと私が訪ねてみたところ、もちろんそんなことはないですよと答えた。そもそも宣伝するのになぜ腕章が必要なのだろうか。この腕章だらけのサイケデリックなスーツを着ているのはいったいだれなのか。なぜこの女はアドバルーン千恵子という名前なのだろうか。いらいらさせられる。

財団法人超未来の理事が勢いづくアリクイを用いて一昨年八月に製造した杵つき餅「魂の病」2.8tをスカンジナビア半島全域にまたがって活動するテロリストに輸出したとして問題になっているのだ。この女がこれを知っているならばきっと大きな手がかりが得られるかもしれない。杵つき餅には有限会社未来の星の那須塩原工場で製造したやじろべえPPとよばれる人工甘味料を含んでいるかもしれないのである。この人工甘味料は人生の酸いも甘いもを忘却させる魔法のような力が秘められている。その力を求めて北欧のテロリストが北海艦隊をシージャックしスエズ運河とインド洋を越えて日本に攻めてくるのではないかという憶測があった。しかしそんなことは憶測に過ぎない。憶測が許されるならどんなほら話も許されてしまう。

しかし厳然な真実の話をするためには相手を煙に巻く詭弁や方便もまた必要ではないだろうか。だれが考えたかもわからない大嘘話に付き合ってる暇はないと私は思った。そもそも勢いづくアリクイなんてものが本当に存在するのかわからないし、よく考えたらアドバルーン千恵子なんていう人物は存在しないのである。アドバルーン千恵子というのは福岡名産のしゃきしゃきとした野菜の総称で、実に私は無駄足を踏んだというか、何もない宙に向かって話しかけていたのである。

作品名:超未来 作家名:nekopoo