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護国の騎士

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 魔物に立ち向かうあの人はさながら英雄譚の一場面のようで。
 その姿を見て実感したのだ。
 団長が昔話の英雄(ヒーロー)に恋した理由。憧れた理由を。

 魅せられたのだ。その姿に。言葉に。生き様に。
 かく在りたいと願わせるほど、強い強い憧れを抱くくらい。

 けれど、俺はこう在りたいとは思わない。ああいう高潔さを俺は持ち合わせていないから。
 俺の役目は、この人を支えることだ。まっすぐ歩む、あの人の背を預かることだ。

 俺は英雄では有り得ない。
 英雄の隣に立つ副官でありさえすればいい。


 そう。願わくば、あの人の隣で。
作品名:護国の騎士 作家名:紫苑