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フィルムの無い映画達 ♯02

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機種ヶ変



 機種変したいんですけど

「はい、では以前お使いいただいておりました機種は、今お手元にお持ちですか?」

「それがそのぉ、本体を失くしてしまいまして……」

「左様でございますか、それではお客様の携帯番号よろしいでしょうか?……はい、ありがとうございます…・………はい、確認いたしました」

「あ、スイマセン。今から契約する機種って、今日すぐ持って帰れますか?一応もう一台持っているんですが、二台無いと何かと不便で……」

「はい、すぐお持ち帰りいただけますよ。では、ご希望の機種等御座いますでしょうか?」

「いや、特にはまだなにも……どんなのがいいのかなぁ……あ、カタログとかありますか?」

「勿論御座います。しばらくお待ちください」

 そう言ってお姉さんは奥へひっこんだ――こういうショップのお姉さんって美人が多いなー、と、ぼんやりと思っている内に、姉さんが、分厚いカタログを持って帰ってきた――ぶ、分厚すぎないですか?そのカタログ?!

「宜しければ、人気のある、おすすめの機種からご紹介してまいりましょうか?」

「はい、じゃあヨロシクお願いします」

 ショップのお姉さん、カタログをめくる。

「ではこちらどうでしょうか。F15-E、通称イーグルストライクです。マクドネル・ダグラス社の開発した戦闘爆撃機ですね。第4.5世代ジェット戦闘機に分類される直列複座の戦闘爆撃機となります。F-15B/Dとの外見の差はほとんどないのですが、搭載量の増強や確保や機体寿命の延長のための再設計は機体構造全体の6割に及んでおりまして、電子装置類の大幅な更新も考え合わせると、内部はほぼ別の機体となっています。色はブラック、シャンパンゴールド、ブルー、ピンクからお選びいただけます」

「……いや、あの店員さん?……僕が欲しいのは、そういう機種じゃなくてですね」

「嗚呼すいません。失礼致しました。爆撃は普段あまりなされない方でしたか?」

「……はい」

「でしたらこちらの機種はどうでしょうか?日本・航空自衛隊の戦闘機になるんですが……」

 そう言ってお姉さんは、違うカタログを持ち上げて、ドシンと机に置いて広げる。

「こちらのF-2とかはどうでしょうか?こちらも第4.5世代ジェット戦闘機に分類される戦闘機になるんですがF-16を大型化した機体に空対艦ミサイルを最大4発搭載という、戦闘機としては世界最高レベルの対艦攻撃能力と対空能力を兼備しており、「バイパーゼロ」という非公式の愛称を持っております。気になる爆撃機能ですが、F15-Eのように爆撃に特化した機体ではございません。とはいいましてもいざ爆撃というときにまったく爆撃できないということもなく、その性能や用途から、戦闘爆撃機やマルチロール機に分類される場合もある非常に使い勝手の良い機種となっております。色はブラック、シャンパンゴールド、メタリックシルバー、ピンクからお選びいただけます」

「あのですね……えーと」

(一体、どこから否定していけばいいんだ?)

「つまり僕が言いたいのはですね。僕の欲しい機種は……そのー、通信機能というか……」

「通信機能ですか?どの機種もオプションになってしまうんですが暗号通信にも対応しております」

「い、いや……通信できるんでしょうけどそんな巨大なものではちょっと」

「そうですね。一見重そうだなと思われると思いますが、F-2は大型化に伴う重量増軽減の為に、炭素繊維強化複合材による一体構造の主翼を世界で初めて採用しておりまして普段お使いになられるのに全然ストレスにならない機体の重量だと思います」

「あの、そういう問題じゃなくってですね。もっと普通の一般的なやつをお願いしたいんですけど」

「ああー、そうだったんですねぇ。大変失礼を致しました。もっとカジュアルで軽量なものでしたらジェネラルダイナミック社のF-16、通称ファイティングファルコンなんかがおすすめです。色はジェットブラック、パールホワイト、グリーン、ピンクから……」

「いい加減にしてください!!」

 流石に堪忍袋の緒が切れた。

「ど、どうなさいました?お客様……」

「さっきからなんで、戦闘機の話ばっかりしてるんですかっ?!」

「え……」

「僕が戦闘機を買いに来た客に見えますか?こっちの話を聞こうともしないで、一方的に戦闘機を勧めて来たりして……失礼だ!だいたい戦闘機って一体いくらぐらいする物なんですか?」

「そうですねだいたい100億円前後でしょうか?」

「……100億……支払いは?」

「カードと当社独自の分割払いシステムもございますので、毎月のお支払い5億円の20回払いからのご利用が……」

「ふざけるなー!」

 そう言い放ってから俺は、おろおろする店員を尻目に、AH-1攻撃ヘリコプター、通称コブラ(色はピンク)に乗って帰った。