群舞シリーズ Ⅱ
悲しき群舞
カード、ローン 50万
美しく装うために 男心を引きつけるために 私は買う
ブランドの衣装を 派手なアクセサリーを
女の虚栄と 女の見栄が むせかえるこの世界
あら 似合うじゃない
羨望と嫉妬と皮肉を胸の奥で 激しく燃やして
笑顔の下の突き刺さるような 冷たい眼差し
いい人のいる人にはかなわないわね
と 陰口をたたき そっと唇を噛む みにくき老女
私にも誰かいないかなあ
まだ あどけさの抜けきらない ハイティーン娘
さんざ通ってくる成金に あわゆく転びそうになったあの日
自分が情けなく 化粧室でそっと涙した
早く この群舞から身を引きたい この奇っ怪な群舞から
魔力にも似て 踊ることの易しが
踊りをやめたダンサーは どうして生きればいいんでしょう
古い演歌を口ずさみ はすっぱに笑った雨の夜
四季
あなたが 人形のラピーを拾ってくれたのは
去年の夏の午後だった
紅葉の木漏れ日を浴びて 京都を旅した秋が過ぎ
木枯らしの公園を 肩を寄せ合って散歩した冬が過ぎ
新緑の山の宿で 夢を語ってくれた春が過ぎ
そしてまた あなたの好きな太陽の季節がやってきた
私にとって 夢のような短い一年が あっという間に過ぎて
そして 夏の終わる頃 あなたはもういない
アメリカへ ボストンへ あなたは 行ってしまう
もうすぐ お別れね
でも お願いだから さよならは言わないで
またいつか きっと会えると希望があれば
私は生きて行ける
ラピーと別れるのは辛いけど あなたと一緒なら安心よ
私 見送りには行かないわ だって、、、
泣き出しそうで あなたを 困らせそうだから
だから今日はお願い 群舞を忘れた ただの女のように
あなたの胸で 泣かせてください
夜空には 月と星があったけれど 私のもっと近くには
太陽があった