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まるでナントカのような

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 わたしは朝からいたく感動していた。布団にもぐったまま、小鳥のさえずりのような目覚まし時計の……。
 わたしは異変に気づき跳ね起きた。布団は乱暴に捲れた。
 サイドテーブルの上の目覚まし時計は、目覚まし時計と呼んでいいのかわからなかった。そこにいたのは小鳥だった。真っ黒なひとみがこちらを見つめ、ぴちちと何やら訴えていた。
 わたしは慌ててベランダへ出ようとした。そこで気づいた。カーテンがないのだ。いったい……と立ち止まったところで、海でよく聞く鳥の鳴き声が天井の方から聞こえた。わたしは振り向かずにベランダへ出た。
 そこはとても……なんというか、とんでもない世界だった。
 日に当たらずに育ったであろう白い肌の少女が笑いながら空を舞う。その後ろを虫取り網を持ったよく日に焼けた少年が追いかける。山は絵の具で描かれたようで、その向こうには校長先生の頭が光っている。
 やばい、と思った。
 わたしはここで、昨日何を考えただろう。朝日を浴びて、それから。
 そこで突風が吹き荒れ、わたしはこりゃもうだめだと直感した。否応なしに高鳴る鼓動で何も聞こえなくなり、そこで途切れた。
作品名:まるでナントカのような 作家名:長谷川