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鬼蜘蛛女郎

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始まり 蝶と蜘蛛


綺麗な蝶が、その身を貪られているのを、陽助は(ひすけ)は声を潜めて見つめていた。
粘り気のある糸に捕まえられた蝶は、苦しそうにもがいてみせるものの、しかし逃げ出す事は出来ずに、その美しい模様の羽は、ますますに削られていくのだった。
蜘蛛というのは、なんと恐ろしいものだろうと、陽助は思った。。
自分の方が、遥かに大きな存在であるはずなのに、陽助はこの蜘蛛を見ていると、鳥肌が立つのを感じてしまう。
これ以上見ていても、気分が悪くなるだけだろう。陽助は、顔を曇らせ、どこか後ろ髪を引かれる様な思いを引きずりながら、踵を返して歩みを進めた。
作品名:鬼蜘蛛女郎 作家名:逢坂愛発