RPG!!
オーロの父は延々と語り続ける。
「しかし、その武具を作られた理由は誰も知らない。遥か昔、太古と言っても良い。それくらい歴史があるのだよ。
その有力な一説が、魔神と神の戦争だ。」
「魔神と神?」
「そうさ。今、魔王が6人で魔界を統べているが、本来、7人で魔界を制していた時代があったんだ。」
そういえば、カリバーがそんなことを口にしていた。
魔王の7人目は超やばい奴だと。
カリバーは「なんだと!?」と、父の話に引き込まれていた。
お前、当事者だろ。
「その魔王を束ねてた魔神。こいつが、天界・人間界も自分の支配下に置こうと6人の魔王を引き連れ戦争を起こした。
状況は、圧倒的に魔界軍が優勢で、もう天界と人間界が背水の陣へと追い込まれたその時!」
「神が現れた?」
「そう! そうだよ息子! パパのいいところ奪いおって!」
なんとなく掴めてきた。
オーロは父親が話してくれた御伽噺の概要を思い出してくる。
「『七の闇に世界が堕ちる時、七の光を神がもたらさん』」
「……つまり7人の魔王に対抗するために、神々が7つの神器を作ったんだな? それが『七武式』。」
もっと多く作りゃええんに。
神のケチっぷりにオーロは首を捻る。
そういえば、カリバーはこうも言っていた。
「我は北国で生まれた。」と
カリバーを一瞥する。
カリバーは「すごいぞ! 『七武式』!」 と、他人事のように喜んでいた。
「そして、7人目の魔王、通称・魔神は天界の名所でもある場所で神と戦い封印された……。
その名所ってのはオーロ。お前が良く知っている場所だよ。」
突如、父が目を細め窓の傍まで歩み寄る。閉めたカーテンをちらりと開けその隙間から、夜空を見上げた。
満点の星空だった。
「『星巡りの地』?」
―――ママね……死んだらお星様になりたいな。
灰色の過去がフラッシュバックする。不意打ち過ぎて眩暈を起こしかけた。
世界で一番星に近い天界の名所。行けば誰もが涙するという絶景の星の海。
そして、オーロの夢。
どうしようもない、終わった夢
「そう。あそこは壮絶な戦いの末、暗雲が晴れ、淀みある空気を浄化し、空を一掃した。
故に、星一面の世界が成り立つ。
母さんが夢見た土地が、戦争の遺物とは皮肉なもんだよ。」
オーロも空を見上げた。そこは天井、無機質な木目の内装が視界を占める。
瞳閉じれば、その皮肉で広大な土地が脳内を巡る。図鑑でしか見た事のない風景。でも、何度も何度も呆れるくらい見返した風景。幼い頃に約束した遠い母との思い出が蘇る。嫌というわけでは無いが辛い部分もある。
―――じゃあいつか連れて行くから。それまで死なないでね。
母と交わした約束の夢。
その3日後、母は約束を破った。
そんな夢を、オーロは今でも覚えている。