首なし殺人事件
「俺があの時間から起きていたのは、ここの婦人・・晶子さんから連絡を貰っていたからだ。」
死体を見た後、琉は腰を抜かして座り込んでしまった俺を支えながら隣の部屋に
連れて行き、近く似合ったソファーへと座らせた。
「一週間前ここの主である永沢敬二さんに脅迫じみた手紙が届いたのが事の始まりらしい。」
琉が言うにはその手紙には、
『永沢家は呪われている。アリスの呪いは死を連鎖させる。』
と書いてあったそうだ。
元総理大臣の家であり、亡くなった敬二さん自身も有名な医者らしい。
普段からねたみやら恨みやらでこういった脅迫文が届く事も珍しくないそうだ。
最初は執事さんやら奥さんはいつものようにいたずらだろうと思っていたそうだ。
しかし、敬二さんだけは違ったらしい。脅迫文を見た瞬間に顔色が真っ青になり、
有名な探偵を呼べと奥さんに命令し、本人は今まで出席していた医師会などにも顔を出さなくなり
ほとんど部屋に閉じこもっていたそうだ。
「で、なんでお前が選ばれたんだ?」
探偵なんてたくさんいるし、個人事務所を構えているとはいえ、そんなに有名ではないはずだ。
「事務所を開いた頃にあるマダムのネコ探しを依頼されてな。」
「ネコ探しぃ?」
「事情があって身分は隠して依頼していたらしいんだが、ほとんどの探偵がその依頼を断ったらしいんだ。時間はかかるわ、そんなに金にならないわだからな。」
「で、お前はその依頼を受けたと。」
「そう言う事。俺はまだ事務所を開いたばかりだったからな。
依頼の一つ一つを真面目にこなしてたわけさ」
そしてネコを見つけてから、ネタばらし。多くの報酬とそこのマダムからの紹介で
いろいろな有名人からの依頼を受けれるようになったわけさ。
「な、なるほどな。」
壮大な話を聞き終わると、そのタイミングでドアがノックされた。
「あのぉ・・先生?少しよろしいでしょうか?」