キミは…ダレ?[外出編]
青空を見上げると、くびれたボディーのスレンダーなヤツが横切った。
もう、現れたか! 偵察隊だろうか……
こっちには、来ないでくれよ。の願いは叶わず、近づいてくる。
せめて それ以上は、近づかないでくれ。あ、上を横切った。あちらは、毛虫の居た木があったかな。
それにしても、キミの仲間は、何となく 短気なイメージがあるよ。勝手な理由で 針を出す。
仲良くしたいとは思わないけど、見た目は モテると思うよ。
比較的 温厚なキミだって 肉食系男子なんだろ。脚だって長くてさ カッコイイよ。
もう、キミに痺れちゃって 病院送りにされたモノもいるらしいじゃないか。
絶対 止めてくれよ。
そういえば キミは黒いものが好きだからと、わざと真っ白なタオルをお日さまに干していたのに、そんな中で昼寝してただろう。
あん時は、驚いたよ。
部屋に入った途端に 飛び出してくるんだもんな。反則だよ。イエローカードだぞ。
キミだって 警戒・注意信号のボディーカラーじゃないか。
でも、ひとつだけ ごめん。
キミの留守中に 無断で住まいを破壊したよ。
あんな所で住むなんて聞いてないよ。ちゃんと許可を取ったのかい?
ずいぶん前だけど、エアコンの室外機の中に住んだだろ?あの年は、確かに猛暑だったよ。
気持ちはわかる。だけど、エアコンが点けられないじゃないか。
名前くらいは、知っててあげよう。なに? フタモンアシナガバチ そっか……
子どものお気に入りのナントカモンみたいだけど 子どものポケットなんかに入るんじゃないぞ!
あれは、キミの仲間か? キミもあちらへ行ったらどうだい?おっと、追い払ったつもりはないから 怒るなよ。
約束する。これからも 手出しはしないからさ。
この気持ち良い薫風を 空の上で楽しみながら飛んでいってくれないか。
じゃあ、行くな。だから、キミはあっちへだよ。元気で働けよ……。
作品名:キミは…ダレ?[外出編] 作家名:甜茶