キミは…ダレ?[外出編]
猫の額ほどの畑に 花が開ききった菜の花。黄色く可憐な花だね。
その前に 猫が熱を出して、どれどれと 額に手を当てたことが無いからか、どの辺りが額なのかよく知らなくてごめん。
柔らかな毛並みを撫でても 其処は額なのか知らずに触れている。
もしかすると 最近、生え際が後退しちゃってと 気にしているところだったら申し訳ない。
あ、もしかして 先日、首を傾げ、擦り抜けていったアイツは、そんな理由だったのかな。
話は、其処ではなかったね。
そう、菜の花に ひらひらと 寄っては 離れているキミ。
その葉の近くから見据えて 何か言ったのは 挑戦状かな。
もしかして 菜の花と 勝負しているの? どっちが綺麗な黄色?って。
そうだなぁー。キミも充分綺麗だよ。
でもね。菜の花は、風に揺れてアピールしているでしょ。キミは、どう対抗するの。
忙しそうに小刻みに羽をバタつかせているような仕草は、余裕なく焦っているように見えるよ。
もっと 優雅じゃないと。
キミのような姿で そりゃぁ優雅に美しい模様をおひさまに輝かせ、舞いを見せてるコもいるでしょ。
膨れた?ごめん。
黄色の衣裳に銀色の斑紋。うん、よく見ると美しいね。
名前くらいは、知っててあげよう。なに? モンキチョウ そっか…… 家柄を大切にしてるのかな……紋 貴重。
ほら、キミの仲間が…… あれ? あのコは 色白だね。なるほど、シロツメクサが好きなんだね。
ねえ、モンシロチョウは、キミの知り合い? キャベツやアブラナが好きなヤツのことなんか知らないって。
アブラナ?って菜の花じゃないの?
なんだ。キミが、菜の花畑に 迷い込んだだけなんだ。
キミは、なにが好きなの? ああ、マメがいいんだ。
じゃあ 早くお帰りよ。シロツメグサの白色はきっとキミを美しく見せてくれるよ。
そろそろ 行くね。元気で……。
おや。モンシロチョウがやってきた。
作品名:キミは…ダレ?[外出編] 作家名:甜茶