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Minimum Bout Act.03

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 ルーズがやってきたのは、シンが基地に戻ってきて1時間もしないうちだった。
「カッツ……」
 虫の息のカッツの姿に、さすがのルーズも動揺を隠せない。
 直ぐさまルーズが乗ってきた宇宙船にカッツを乗せ、緊急手術が行なわれた。
 ルーズは医者ではなかったが猛勉強をしたためある程度の医療知識を持っている。
 そして医者がいない場所で緊急の場合に限り、ネットを繋いだ状態で医師と連携を取りながら一般人でも怪我人や病人の手当が出来るようになっていた。有事の際の緊急処置だ。
 もっと設備が整った宇宙船なら、医師が遠隔操作をしながら緊急手術を行なうことも出来るのだが、如何せんこの宇宙船はそこまで最新ではない。
 大きな画面に映し出される医師とカッツの映像を見ながら、ルーズとシンは必死で出される指示通りにカッツの体から弾を摘出し縫合するという作業を繰り返した。

 何時間経過したのか、ふと集中が切れ掛かった時、やっと処置が終わった。
「ーーー終わった……」
 ドサリと近くの椅子に座り込み、シンは大きく息を吐いた。
「取りあえず出血が多いからしばらくは増血剤を点滴して様子を見ましょう」
「ああ……なあ、ルーズ。カッツは死なないよな?」
 ベッドの上で眠るカッツの様子をチラリと伺い、シンが尋ねる。
 ルーズは微笑んで頷いた。
「この男が簡単に死ぬ訳ないでしょ?」
 その一言に、何故か説得力があってシンも笑う。
「そうだな。とんでもない高さの崖から落ちても死ななかったんだし、銃弾浴びた位じゃ死ぬ訳ないか」
 そう言い終わると、シンは疲れからかその場で眠ってしまった。




 ****



 私の名前はソラ……
 「空」から付けられたんですって。
 あなたの瞳の色は、とても不思議ね。
 私の名前と同じ、空の色ーーー






 ふわふわと心地よい温もりを感じ、カッツは意識を取り戻した。
 驚くほど周囲がまぶしくて、顔をしかめてゆっくりと目を開いて行く。
 懐かしい記憶はひどく甘い味がして、ぞくりと心の奥底を揺らした。
 無機質な天井がはっきりと見えるようになってくると、カッツは首を横に動かす。
「……うっ!」
 体中に痺れるような痛みが走り、思わず声を漏らす。
 と、
「やっとお目覚めか?」
作品名:Minimum Bout Act.03 作家名:迫タイラ