ダンジョンインフラ! 序章〜第一章
それをいっちょまえに理解したのか、巡回者は傷ついた獲物をいたぶるように、ゆっくりと迫って来た。
これでおしまいなのか。
思わず後ろを振り向くと、アヤさんは刀を杖にして、気丈にも立ち向かおうとしていた。
こんな時になんだが、やはり彼女は綺麗だと思った。
どうも俺の好みは強い女性が好きのようで、刀を持つアヤさんの姿は股ぐらがいきり立つ程に魅力的だ。
やはりもったいない。
こんな所で終わらせてたまるか。
拳銃のマガジンを交換。
遊底を引き、薬室に弾丸を装填する。
無様な程に吼えて、俺は弾丸を打ち込み続けた。
無駄なのは解っている。
着弾すると同時に、弾丸は術式に分解されて黒い腕に取り込まれてしまうのだ。
ただ術式でも物質でもない衝撃は通るようで、巡回者は一瞬だけ怯む。
その刹那の時間だけでも、あがき続けていたいと思う。
少し前の俺ならば、さっさと諦めてこの黒い腕に取り込まれているだろう。
それがどうして、こんなにも無様で、
泥臭くて、
そして救いようの無いバカになったのか。
全ては、半年前。
彼女を転移した事が、俺の人生のターニングポイントだった——
作品名:ダンジョンインフラ! 序章〜第一章 作家名:三ツ葉亮佑