群舞シリーズ
告白
これで私の話はお終いです ああ、とうとう私はこの人に
全てを話してしまった 私についての事は何もかも
恥ずかしい私の過去を みにくい私の傷跡を
「ありがとう、よく話してくれたね辛かったんだね 苦しかったんだね」
純真で 汚れを知らぬこの人を 偽ることの出来ない私
「こんな女でも もし お嫌でなかったら どうかお抱きになって」
あなたに愛してもらおうなどと そんな欲はいいません
たとえ 今夜限りでもかまわないのよ 本当に
あなたの清い人生の 短い短い切面を 横切ったということを
きっと 誇りにするでしょう
その夜 女は群舞を忘れ 生まれ変わったエンジェルに
燃えて身を焼くエンジェルが 初めて知った恋の夜
鏡の女
ビールの泡に消えた 夢の夜
何事もなかったかのように 今日もまた鏡に向かう
荒れた素顔の上を 自信に満ちた 画家のような手つきで指先が走る
もう一人の女が 鏡の中のもう一人の女が抜け出して
そっと隠しておいた 一片の真心までも取り上げて
いとも無造作に タンスの奥に投げ込んだ
ビル街の谷間を 真っ直ぐに顔を上げて
背後の男の視線を痛いほど 背中に感じながら 空を見る
ふと 知らぬまに示した誘惑的なポーズに気づき
「染まったかな」 自嘲的に顔を歪め 群舞の中に 入っていった