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群舞シリーズ

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小さな真心

この私が 汚れきった傷だらけの この私が
あの人を好きになろうとは
バッグの中に投げ込んだはずの 人形のラピーを
あの人が拾ってくれたという偶然が この小さな偶然が
私の心を変えようとは

憎らしいほど妬ましいほど無邪気な瞳
眩しいほど恥ずかしいほど明るい笑顔
私にもこのような瞳がこのような笑顔があったのに
放してはいけない 逃がしてはいけない小鳥だと
そっと 心につぶやいた

この日のために残しておいた小さな小さな私の真心
それから幾度か会った日に彼は一人の友達を私に教えてくれました
 「こちらが、太陽君!」
知らない訳ではなかったけれど 縁のなかったその名前
 「ああ、恥ずかしい、、、」私は思わずうつむいた
 「君にも仲良くなってもらいたいんだ」
その言葉が身にしみて 涙が溢れてしまったの


群舞の中で

今日もまた 巷に明かりの灯る頃
ほら、一匹 二匹 三匹と 美しく装った夜の蝶が街に群舞する
あらゆる悩みと あらゆる悲しみを 厚化粧の下にかくして
いそいそと 足取りも軽く 始まったばかりの夜の世界へと
 「あら、いらっしゃい」
満面に職業的笑を浮かべて まるで舞台の名女優のような
この あでやかなセリフ
好色的な 眼差しを軽く受け止め 「寂しかったわ」 と
甘い声の出る頃は もう一人前
アルコールと嬌声の中で 夜はふける
 「またいらっしてね」
ノクターンを聴きながら そっと男の手をほどく
ヒールの音を気にしながら うつむいた顔は無表情
しつこく絡む野良犬に あわゆく白巾を投げかけ
 気を取り直し その悪態をじっと睨みつけて耐えた

作品名:群舞シリーズ 作家名:mito