小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
アッシュ ラリッサ
アッシュ ラリッサ
novelistID. 46007
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

流れ星のタンゴ Part.3

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
第二幕

『第一場』

 公園は太陽に照らされる。バックに東京タワーがある。喫茶店でコンチータ、
 ひかりと何人かのダンサーがコーヒーを飲んでいる。

コンチータ     あぁ、もう、セバスチャンとは修羅場があったのよ!
          セバスチャンったら私が彼のいうことを聞かなかったら、
          椅子を壊して私を殺すって脅すのよ!でもね、よく聞いて、
          彼に叩かれた後、私は舞台で女神のように踊れたの!!
          アンダルシアでは、観客が私の踊りを見て泣いたわ!
          セバスチャンが光るナイフで私を脅すって思ったら…
          ここ… そう、そうよ、まさにここ… 心臓のところ…  
          あなた達のおでぶのコンチータ先生は、儚い蝶に姿を
          変えて、蝶が炎に飛び込んで燃え尽きるような、
          最後のフラメンコを踊ったの…

 ダンサーたちは夢見るような面持でコンチータの話を聞く。

珠美        ね、先生、私には絶対そんな情熱をもつことって
          出来ないと思うな。

踊り子A      私も、つまんないわね!

コンチータ     えぇ、そうですとも、私とセバスチャンの戦いが
          なくなっちゃって、東京に来てから物足りないわ。
          私たちのギタリストときたら、静かすぎて…  
          全然乱暴じゃないんですもの!一度だって私をナイフで
          脅したこともないのよ!嫉妬で狂って流血沙汰を起こす
          こともないし、それどころか私をはたいたことだって
          ないんだから!克宏さんって優しすぎるのよ。残念だわ!
          私みたいな女が攻撃もされないでやってられると思う?
          タタミちゃん、あなたの言うとおりよ…

珠美        コンチータ先生、ごめんなさい、わたしタタミじゃない
          です…  私は、た・ま・み。

コンチータ     あら、私って馬鹿ね!もちろんよ、my dear 、
          コンチータおばちゃま先生を許してね!
          えぇ、私のかわいい…

 コンチータの携帯が鳴る。

コンチータ     はい、はい… 私です… えぇ、えぇ… はじめまして!
          あぁ、そうですか?もちろん、スタジオにいらして下さい!
          日中は働いてらっしゃるんですか?それは大変いいです!
          銀座のブティックのオーナー?すばらしい!必ずいらして
          ください!お待ちしております、私はひもですから…
          はいはい、ひも… (携帯を切る)あら、彼女変な人ね!
          今晩どうぞいらっしゃい、私ひもですって言ったら、
          驚いてすぐ切っちゃったわ…

珠美        先生、ヒマでしょ!

コンチータ     あらそう?で、私彼女になんて言ったのかしら?

踊り子B      ごめんなさい。先生、ご自身がジゴロだって言っていたわ!

コンチータ     え?私がジゴロ???わたしはひも?やだわ、きっと
          今の人もうフラメンコを習いには来ないね!なんで生徒が
          あんまり来ないんだろうっていつも思っていたのよ。 
          電話でいつも私はジゴロですって言っていたから
          だったんだわ…

ひかり       心配しないで、先生、日本語って難しいから!

コンチータ     アララ!ところで、ひかりちゃん、あなたのフジ…彼氏、
          あなたにニューヨークに行って欲しくないの?

ひかり       藤原さん、いつだったか私がフラメンコ・フェスティバル
          に行くと夜も眠れなくなるって言っていたんです。

コンチータ     ほうら、ね、やきもち焼いてるのね!!!彼、あなたに
          暴力振るう?

ひかり       全然!ニューヨークって荒れた街だから彼、私のこと
          心配しているんです。

コンチータ     (がっかりして)あっそう… あなたに乱暴しないの?
          だめね!でも、じゃ言って、ひよこちゃん、この前あなた
          私がアンダルシアで踊ったように踊ったでしょ、
          セバスチャンが嫉妬で私を殺そうとしたときみたいに…

ひかり       先生のお陰でうまく踊れたわ!コンチータ先生は
          素晴らしい先生です!

 ひかりは自分の携帯を確認する。

ひかり       あ、藤原さん今晩忙しいんですって…  じゃあ、私は
          七時にスタジオに行きます。

踊り子たち     よかった、ね? 今晩、発表会をやりましょう!!!

コンチータ     小島さんがもう踊らないのは残念だわ!みんな知ってた?
          昨日私彼女と話したの。彼女もうスタジオには来ないわ、
          彼女にんじんなの!三か月にんじん!

踊り子たち     にんじん???どういう意味ですか?

コンチータ     にんじん!あなた達は日本語わかるでしょ?ベービ!
          おなかでベービが居るから…

珠美        先生、にんじんじゃないです!にんしんです!小島さん
          妊娠していたのね…

コンチータ     あぁそう、いっつもこの単語間違えちゃう!にんしん…
          にんじん… 難しい!

 コンチータとひかりがフラメンコを踊りだす。
  
『第二場』

 タンゴの ”I dare not tell you You are beautiful ”のメロディー。公園、夕方。
 バックに東京タワーが赤い光で輝いている。藤原がフランソワーズを
 待っている。フランソワーズがびっこをひきながら歩くエリーズと登場する。
  エリーズはぬいぐるみをうでに抱えている。藤原に近づきながら、
 フランソワーズは泣きそうに顔をしかめる。エリーズも顔をしかめて
 泣きそうな顔をする。フランソワーズの鞄が肩から滑って地面に落ちる。
 エリーズのぬいぐるみも手から滑りフランソワーズの鞄の横に落ちる。

フランソワーズ  (鞄とぬいぐるみを拾い上げるためにかがむ)藤原さん…  

エリーズ     (フランソワーズにしがみつき、フランス語で低い声で話す)
           Maman,ne pleure pas ! Si tu pleures,moi aussi,
          je vais pleurer !(ママ、なかないで!ママが泣いたら私まで
          泣いちゃう!)