火付け役は誰だ!
…等と、二人とも本題の罰ゲームを忘れてぎゃあぎゃあ騒いでいたのは過去のお話。
今の廊下に立ち尽くす二人には共通の目的、共通の気持ち、そして共通の敵がいた。
それは
「くっ…普通食券とは食堂の近くにあるんじゃないのーッ!なんで妖精がファンタジー雰囲気を壊しながら全力疾走しなきゃダメなの!」
「…自販機が一括化されているのが思わぬ裏目に出た…そして何故走るのだか私には分からない。…余計暑くな」
「バカモン!学校という名の青春の場でうだうだゾンビみたいに歩く私じゃないよ!青春は謳歌するもの!過ぎ去るものではないッ!」
「…一つ良い?…何百年単位でサバを読む気?」
「年に関してはそっちも同じようなモノの癖に!良いの!私は歳はとらないんだから!!」
「…外見上は、ね。…ふふ、私はちゃんと打ち水して媛佳が帰ってきても涼しくしてあるから、オコサマと理屈が分かる少女は違うから…そこ重要。…留守番出来ない系オコサマには握ってる食券のカレーライス(甘口)がお似合い。」
「…今炎の連撃か、熱い青春らしい殴りあいか選んで良いよ。選ばなければ両方やってやるこのクール系毒舌!何故か爆発した彦のキッチンと同じ目に合わしてみせるッ!」
「………なぁ。」
「………何?」
「………俺、目が悪いのかもしれない。」
「………あら奇遇、私もちょっと思ってた。ついでに言えば耳もちょっぴり悪いみたい。幻聴が聞こえるみたいだから。」
目の前に背中を向けて騒いでいたのは、学校に来たせいかテンションがメーターを一周した感じの穂子と相変わらずクール系を維持している覆水のバディだった。
家にいろと言った穂子は何故かここに来ている上、ちょっと冗談にならないことを言っていた。
因みに覆水の方も先程から(私の寮はフローリングなのに打ち水?しかも私の財布持ってあの妖精は何を勝手にデザートにあんみつまでつけて食事する気満々?ふふふ、ふふふふふふ)
等とこちらと似たような状況らしい。
そして極めつけには二人の手には学食の券が。
Q.このバディ達は何をして、どこへ向かっているのカナ?
妖精が何の関係もない一般人と関わったらマズイとかは割と頭から吹っ飛んでいた。
直後俺の手と覆水の手がチャッカマンと小型消火器を強く握りしめる。
そして想う気持ちは一つ!
ゆ☆る☆さ☆ん☆
こんな所で(無意味な)戦いが、今始まるッ!
七番、幕引き