アルフ・ライラ・ワ・ライラ10
「ほう、どのような」
「ではお耳を拝借・・・」
ボソボソと囁かれる秘密に、ガーズィーはカッと目を見開く。
「何!では、あの娘が魔神を所有しているというのかっ!」
「はい。確かな筋からの話です」
「なるほどな、それでハキム殿下も」
「いかがなさいます?このままでは、娘の身柄を保護しているアーレフの影響が・・・」
「なに、簡単なことよ。重要なのは娘が持つ魔神だ。魔神との契約さえ結べば、わたしがこの国の、いや世界一の魔術師となる」
「なるほど。では・・・」
「うむ。奪おう。邪魔するなら、かまわない、殺ってしまえばいい。どうせ田舎から出てきた小娘だ。ふ、いったい誰が気に留めようか」
さらに増して部屋に重く暗い空気が垂れ込めていく。
作品名:アルフ・ライラ・ワ・ライラ10 作家名:きみこいし