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プロローグ 無限の始まり 2/2

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4日目の学校。別に何か変わったことがあるわけではない。
 放課後になり帰路に向かう。校門に着き、ふと思った。あの女子のこと。
 まあ確かに家に帰ってもやることないし。勉強なんてやろうとも思わない。ゲームやって食って寝て、朝を迎えて学校に行くという流れ。
 あの女子が言った部活。何か面白い部活があるというのか? むむむ……気になる。
 僕は来た道をたどり学校の掲示板絵と向かった。
 入学式が行われた日がまだ近いので掲示板には部活の部員募集のポスターがいくつも貼られていた。
 見回していくとやはり運動部が人気なのか掲示板の半分を占領しているしサッカーとか野球というメジャーなスポーツはほかのポスターとりひときわ大きい。こんなところにも格差社会が……。
 一通り掲示板内を見たがどこにも小説関係の宣伝ポスターはなかった。
 あの女子が言ったことは何かを暗示しているのだろうが……手がかりがないのなら見つけようもない。
 と、掲示板から目を離した時、見つけてしまった。
「……」
 呆れて言葉もでない。ていうかなんだよこの扱い。不遇すぎるだろ。ていうか苛めだろ。
 その紙は名刺ほどの大きさの紙で掲示板の外側に貼られていた。小さい字で『作家部』と書かれていた。
 何故こんな扱いをされているかは分からないが、もしかしたら破り捨てられてもおかしくないくらいに安っぽいポスターだった。
「場所は……第4倉庫?」
 場所もまた不遇ではないだろうか? 絶対苛められているよね?
 幸いにも目的地はそこまで遠くなかった。
 いくつかの廊下を歩きついに第4倉庫らしき教室を見つけた。
 ここまで来るまではそれほど緊張していなかったが一歩一歩近づくにつれて心臓の鼓動が大きくなっているように感じる。
「うう……」
 やはり止めておこうか……。だがもうここまで来たんだ。行くしかない! ……ああでも!
 と、自分の中での葛藤が少し情けない。
 だが、行くと決めたのだ。やるしかない。それに……。
 脳裏にあの女子のことが浮かぶ。
 僕……気になります!
 第4倉庫の扉の前まで行き、ガラッといきよいよく扉を開ける。
「ん?」
「おっ」
「あ」
 目に広がった光景は、倉庫らしいがそうは見えないくらい綺麗で大きい本棚がいくつも並べられていて、もちろん本がぎっしり詰まっていて、12畳くらいの部屋の真ん中に椅子が3つに人が3人座っていた。
 3人とも男子。ラノベみたいなハーレムは無さそうだ。
「ちっ……」
 眼鏡をかけたひょろっとした奴が舌打ちをした。
「おいおい。新入部員だぞ? 舌打ちはないだろう」
 茶髪で少し不良みたいな奴が擁護してくれた。
「女子じゃない。ラノベなら女子が来るだろう! 女子が! しかもとっびきり可愛い美少女が!」
 僕と思っていることが少し似ていた。
「まま、トキタカ君。部員が増えるのはいいことだよ」
 今度は相撲取り……まではいかないが太ったやつが口をはさんだ。
「ようこそ。ささ、こっちおいで」
 空いている椅子を出してきてくれた。なんて気が利く人なのだろう。
「待てい! 貴様、どこのものだ!」
「え? どこって……」
「ハッ!? 貴様……アレから派遣されたエージェントか!」
「はぁ?」
 この……トキタカってやつは何を言っているのだ? 中2か?
「こいつの言ったことは気にすんな。それより、俺は矢部(やべ)だ。よろしく」
「よ、よろしく」
 不良(仮)の名前は矢部と言うそうだ。
「僕は日暮(ひぐらし)でいいよ! よろしくね!」
 太った方は日暮というらしい。
「ほら、トキタカ君も」
 僕を警戒しているのかなかなか自己紹介に映らない。が、空気に押し負けやっと口を開いた。
「千丈朱鷺鷹(せんじょう ときたか)……」
 目をそらしてボソっと言ったがちゃんと聞こえた。
「……本名?」
 別に偽名を使っているのではないかとか怪しんだわけではなく、単純に素で思ってしまった。
「ぐっ」
「あははははは」
 矢部が豪快に笑った。目じりには涙まで浮かべてる。
「本名? って聞かれてるぜ? まあ確かにこいつの名前はどうも中2臭いし作り物っていうか偽名にもきこえるけど、本名だ」
「いいよ別に。慣れてる。そこまで変じゃないし。DQNネームみたいじゃない分ましさ」
 DQNネーム。当て字ばかりで読むにも読めない名前だっけ。まあ確かに千丈の名前はまだ読める。難しいけど。
「さて、そろそろ本題にいこうか。君は入部希望できたのかい?」
 いきなりか。来たら体験入部でもできると思っていたが、できるほどのことはないみたいだし、実際何をする部活なのかもわからない。ここは無難に目的を聞こう。
「その前に、この部活は何をする部活なの? 作家部というくらいだから作家活動でもするのかな?」
「ふむ、いい質問だ」
 いい質問ていうか普通だろ。今まで言わなかったのが不思議だわ。
「簡単に言うとアレだ。小説が好きな人は、とりあえず集まってぺちゃくちゃ話して放課後過ごそうず。っていうことだ。名前は堅苦しいかもしれないが内容はもう薄い」
「ほら、一応部活動だからちゃんとした名前じゃないとダメなんだよ。部活の名前の候補に『小説について語ろう部』とか『ラノベ部』とかあったんだけど先生に全部落とされてね。泣く泣く作家部になったんだよ」
「ふん。あの先生どももアレの支配下にあるのだろう」
 と、様々に言われたが、正直反応しがたい。今ここで部に入らないと言ったらどうなるのだろうか。断る理由もない。でも入る理由もそれほどない。だが、分かる。僕がこの部に入れば、楽しい学校生活になるのは確実だ。ならもう言うことは一つだ。
「分かりました。話聞けてよかったです。では」
 去る。
「ここまできて入部なし!?」
「貴様! やはりエージェントであったか!」
「うう……」
 三人の声を後ろに僕は教室を出た。
 結局、僕は臆病なんだ。
 今までに失ってきた……あれが怖くて怖くて仕方がないんだ。ごめん。みんな。
「あ、君」
 廊下ですれ違った女子に呼び止められた。
 何かやったかビクビクしながら応じた。
「この封筒を渡すように頼まれたの。それじゃ」
 と、ハガキくらいの茶封筒を渡してその女子は去って行った。
 茶封筒を調べると一部封筒が破れているところがあった。というより綺麗に四角に切り取られていた。封筒にはその切り取られて中の紙が見えてるところを矢印が指して『名前を書いて先生に提出』と書いてあった。
 心当たりがないが書いてある通りにした。
 それを職員室にいた担任に渡し先生が封筒から中身をだした。
「ふむ。いいよ。じゃあ明日から第4倉庫に来てね」
 え? 今なんて?
「え? 今なんて?」
 あまりにも突拍子もないことだったので心の声が無意識に声へと出てしまった。
「いやだから、これ。作家部の入部届。入るんでしょ?」
 作家部の入部届!? そんなの書いた覚えなどないぞ!?
「なんか驚いていない?」
 もしかしてあの封筒の中身は入部届!? いったい誰が何のために?
「君はツンデレ属性でも持っているのか?」