恋の結末
天文台。
近くで見た天文台は結構大きかった。
真っ白の球形の物体は彼の国の通信傍受施設の様だ。
すでに周りは真っ暗になっているが、まだ星は見えない。
「……くしゅん」
「大丈夫か? 毛布か何かを取ってくるよ」
たとえ夏とはいえ日が沈んでしまえば肌寒いぐらいにはなる。まして、半袖で何も用意していなかった僕たちにとってはなかなか辛い。
「大丈夫。持ってきたよ」
一枚の大きな毛布。
一緒にくるまる。
「あっ、たっくん一番星だよ」
そう言って葵は空の一点を指さす。
「ん? どこだ?」
「もぅ、あそこだよ、あそこ」
んー、どこだ?
「あっ、二番星、三番星。それに四番星」
あっちこっちを次から次に指さしながらうれしそうな声をあげる。
「わあ、すごい。満天の夜空だ」
陳腐な表現だが、暗闇に光る星達はさながら宝石の様だ。
「文化祭の出し物だが……」
もうこれでいいんじゃないか? と言いかけたが、
「うん」
伝わったらしい。
二人だけ。それも密着して同じ毛布にくるまっている。
これは告白のチャンス? いや、まさか……。
でもここで言わずしてどこで言うんだ。
よし!
「葵……昔から葵のことが……」
「すぅー……」
(ダッシュ)!?
葵の方を見る。
葵は幸せそうな顔で寝ていた。