恋の結末
バス内は意外と混雑していた。
車内クーラーがガタガタ唸っているが、人々が発する熱の前に敗北していた。
「山登り楽しみだね」
「そうだなあ」
僕の隣に葵は立っていた。
伊吹と安芸は……ちょっと遠くに離れてしまっている。
と、バスが突然急ブレーキをかける。
「あわ……わわわっ」
ついでに葵がふらりとよろけてくる。
どうにか踏ん張った僕は葵をキャッチして……。
柔らかい何かに手が触れた。
ぷに。
その柔らかさは正にマシュマロのようで。
ぷにぷに。
「ちょ……たっくん。こ、こんなところでぇ」
「う、うわあ」
慌てて手を離す。
葵はくねくね身を悶る。
周りの目が痛い。
「チッ、公共の場でイチャイチャするな」
伊吹の目も痛い。