恋の結末
僕達は由良の家に向かっていた。
どうして由良の家に向かっているかって?
由良の家は八百屋なので食材の買い出しだ。
さすがにここまで葵に任せるのはどうかと思うので一緒に向かっている。
海での楽しさはどこへやら、さっそく難題にぶつかていた。
「たっくーん、どうしよー」
すがりついてくる葵。
歩きにくいったらありゃしない。
「文化祭の出し物どうしようー」
「って言われてもなあ。流星群の観測失敗したからな」
「そんなあ」
今にも泣きそうな顔で更に強く引っ張ってくる。
これで完全に歩みは止まってしまった。
道の真ん中で立ち止まったせいで、周りの人が勘違いして避けて抜かしていく。
チラッチラッとこっちを見てくる周りの人に混じってカップルが一組だけいた。
「おうおう、朝からお熱いことじゃねいか」
やっぱりこんな事を言う奴は由良ぐらいだろうな。
「おはようございます。磐手さん」
由良には似合わないぐらいの美人だ。
「もう、たっくん。鼻の下のばさないの。真面目に解決策考えてよ」
「考えるから、先にお店に行こうな」
「おっ、俺の店に来るところだったのか」
「ああそうだ。もちろん店は開いているよな?」
「おうとも。親父が店先で座っているはずだぜ」
由良は一息置くと、
「何の話をしてたんだ?」
「文化祭の出し物をどうするかって話をな」
「お前、部活に入ってなかったろ?」
「いやいや、僕じゃない。こいつのだよ」
そう言って、僕に張り付く葵を剥がし取った。
「流星群を観測しようと思ったんだけどね。あの日、嵐に会っちゃって」
「ああ、あの日か。あの日は確かに凄かった。俺もビックリ玉手箱だった」
「流星群というのは何なのでしょうか?」
「えっ、知らないのか。あれだよあれ、ピューって流れていく星だよ」
「なるほど、星の嫁入りのことでしたか〜」
何だが合点がいったらしい。