恋の結末
珍しく九条が教室に一度も来なかった。普段なら時々顔を出しにくるのに。
恋が叶うと噂の神社――それはかなり近くにあった。
ここだったのか。
幼い頃によく遊んだ裏山。しかし、始めてみる石段が僕の前を続いている。
懐かしい空気を吸いながら、僕は神社へと繋がる階段を登りはじめた。
「う……少しきついな」
普段運動していないのが露呈してしまったようだ。だがようやく這々の体でようやく頂上にたどり着いた。
土台だけしかない鳥居に崩れかかった拝殿。
一見しただけで長い間人の手が入っていないことが分かった。
「小鳩さんに引っかけられたかな……」
一瞬そんなことが頭をよぎったりもしたが、ここまで来て家に帰るするのもどうかと考えた僕 は一応参って帰ることにした。
崩れかけた幣殿の賽銭箱に十分ご縁があるようにと一五円放り込むと、作法どうりに参った。
「彼女ができますよーに」