ゲイカクテル 第4章 ~ SUDDENLY I SEE~
紅茶が運ばれてきたので一口すすった。アールグレイだった。二人の話は盛り上がっていた。マックスはデビットが作家で大成しているコトを知って素直に喜び、褒めた。デビットはマックスのぶっきらぼうで少年臭いところが好きなようだった。ビリーは同じタイプX-Ⅲのマックスに興味を持ち、失礼だとは思いながらもまじまじと観察した。黒髪にグレーアイズ、肌は小麦色で筋肉質、ガテン系のような気がした。
「なぁ、マックス。一緒に住まないか」
「えっ、いいの? でも執事がいるじゃん」
「それだけではつまらんのだよ」
「大きい家で一人は嫌なの?」
「あぁ。夢だったんだがなぁ。作家で身を立てて大きな家に住むのが」
「そんなに寂しいなら、いいよ」
「住んでくれるかね」
「でも男遊びはするよ」
「かまわん。私も歳だ。相手はできんよ。欲しいのは話し相手だよ」
「引っ越しは自分でするよ。そんなに物ねぇもん」
話はまとまったようだ。素晴らしいコトだとビリーは思った。二人の話に浸っていたが、ふと我に返ると時間が気になった。リビングを見回すと壁掛け時計があった。もうすぐ六時になる。マズイと思い、席を立った。
「お話の途中で大変申し訳ないのですが、私、帰らせて頂きます」
「行くのかね」
「はい。親分が仕事から帰ってきますし、夕飯も作らなければならないので」
「オレも行くわ」
「また来ておくれ。引っ越しはいつでもいいから」
「おう。でも早めにするわ」
「では見送ろう」
執事を先頭に四人は玄関まで行った。執事とビリーはお辞儀をし、デビットとマックスは手を振って別れた。二人は家路に就きながら、お互いタイプX-Ⅲだというコトに感激したという話をした。マックスはビリーの仕事に興味を示し、色々と質問してきた。ビリーは簡単に言えばなんでも屋で、自分が情報担当、親分が荒事担当だと説明した。自分はおつかいや家事手伝い等の小さな仕事が好きだが、親分は大きなヤマをやりたがるので困っていると言った。今はどうなのかと聞かれたので、警察も困っているような大き過ぎるヤマを担当していて、親分も弱っていると答えた。ビリーも気になっていたので職業を聞くと、大工だという。高級住宅等の一軒家からバー、スナック等の飲食店の増改築までやっているとのコト。
ビリーの家に着いたので、マックスは今日一日の礼を言い、また相談にも乗ってくれと言って別れた。
作品名:ゲイカクテル 第4章 ~ SUDDENLY I SEE~ 作家名:飛鳥川 葵