▽夏彦先生の顔が赤いワケ
日向陸くん
「そうだ、これは夢だっ!
きっと、なにか悪い夢でも見てるんだろう!いってぇぇぇ!」
思いっきり頬をつねっても夢から覚めることはなかった。
むしろその痛みで「これは現実なんだ」と再認識させられた気がする。
「・・・先生?んっ・・・もう起きたんだ」
眠たそうに目をこすりながら、日向が体を起こした。
「あの、俺達って・・・その・・!」
日向の肩を力強く掴むと、日向は眉間にシワを寄せた。
「先生から誘ってきたんじゃん」
シーツにくるまった裸の日向が俺を見てふにゃっと笑う。
気が遠くなった。目眩がした。そのまま死にたくなった。
ベッドの下に散らかった服を集める日向の手が止まる。
「先生、後悔してんの?」
「俺は・・・ちょっとだけ・・・ごめんな」
最低なことを言っているのは分かっている。
気まずそうに俯く俺に、日向は優しく笑いかけた。
「俺、帰ります。今日ちゃんと学校来てくださいよ」
そういい残して、日向は俺の部屋を出て行った。
ドアが閉まると
全身の力が一気に抜けて、俺はそのままベッドに体沈めた。
ベッドのにはまだ
日向陸の匂いが残ったままだ。
作品名:▽夏彦先生の顔が赤いワケ 作家名:豆もや氏