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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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「あの電撃というのは、近くにあった洗脳装置の電気から発せられたものなんです。わかりますか?つまり、あの場にあの装置がなければ、アコさんは電撃で攻撃することはできなかったんです。」
その例えには、理屈ではわからなくとも感覚でわかるようだ。アコは曖昧な返事だが頷く。
「あー、確かに、言われてみればそうかも。でも、それはほかの属性にも言えることなの?」
「はい。土と木と風は言わずもがなですね。水は空気中に含まれている水分を凝結させて、火も酸素などを発火させることにより発生させていました。」
ここまでの説明で、ようやくアコは理解できていたようだ。と同時に、もうひとつ疑問が浮かぶ。
「でもさ、空気中の水分とかじゃ少なすぎない?あたしがテレビとかで見た水使いとかはものすごかったような気がするんだけど。」
至極もっともな疑問だが、その質問は、さっきまでしていた話を理解していないということの証明にもなってしまった。
溜息をつき、もう一度説明する。
「ですから、それがあるんじゃないですか。」
「あ、これ?」
手元の杖を見る。
「その先端についている玉は、孔石で作られたものですよ。」
「こうせき?」
ここから先は、普段から使っている自分の方が説明しやすい。そう思ったのか、レックも話に加わった。
「孔石っていうものは、持ち主の孔を受けて、その力を大きくする力があるんだよ。例えばほら、僕の武器にも孔石の成分が含まれて作られている。あとルインの刀も、グロウのハンマーにも、この世界の武器にはほぼ必ずこの孔石が含まれているんだ。」
「へぇ〜。」
「それにしても、よくこんな大きな孔石用意できたね。ここまでの大きさは見たことないけど。」
「もちろん人工物ですよ。天然ものではありません。」
その言葉に、天然ものという言葉に惹かれたアコが不服そうにする。
「え〜?そうなの?」
「その大きさの天然ものを手に入れられるだけのお金があれば、この家を軽く十軒は建てられますよ。」
「・・・まじで?」
「まじです。もう少し前の時代までは比較的手に入れやすかったのですが、時代とともにその量が減っていきましてね。これほどの大きさ、ましてや高い純度を誇るものとなると、下手ではないジュエリーでもお話にならないレベルになりますね。」
「ふぇ〜。そうなんだ。」
アコがようやく納得してくれたところで、ツェリライはちょっとした便利機能について説明を始めた。
「ところでアコさん。これからあなたはそれを常日頃持ちあることになるわけですが、それだと片手が塞がってしまいますし、なにかと不便ですよね?」
確かにその通りだ。まあルインの刀のように腰とかに携帯するのもありだが、モノがモノだけになんとなく敬遠してしまう気がする。
「まあそうね。確かに邪魔かも。」
「そんなアコさんのために、ちょっとしたオプションをつけてみました。その杖を小さくさせるようなイメージで孔を込めてみてください。」
言われるがままに試してみる。
すると、一瞬のうちに杖がなくなり、代わりにアコの手首にブレスレットが巻かれていた。
「これって・・・、さっきまでの杖?」
「その通りです。縮小機能を搭載してみました。この技術はまだ肝心に一般的に実用されていない技術ですから、なかなかのものなんですよ。」
「ふーん。」
自慢げに話すツェリライだったが、アコはあんまり興味なさそうである。ただ、ブレスレット自体は気に入ったようで、いろんな角度から眺めては楽しんでいた。
「元に戻したい時は、先ほどの逆、つまり大きくさせるようなイメージで孔をこめればOKです。」
「こう?」
と、ブレスレットが光り、再びさっきの杖がアコの手の中に収まった。
「おぉー、すごいねこれ。」
感心して、何度も展開と収縮を繰り返すアコをよそに、ツェリライは満足げにレックにまで売り込む。
「どうです?レックさんの武器にも設定させましょうか?」
「いや、いいや。なんとなく。今のままが一番しっくりきてるしね。それより、ツェリライは武器製造師の免許持ってたんだ?」
「ええ、普段はこういったものを作成して販売していますからね。結構実入りはいいですよ?」
と、楽しそうに話すツェリライにこちらもまた楽しそうにアコが聞いてきた。
「ねぇねぇ。これって大きくさせたりするときに、何か呪文とか言わなくていいの?」
「特にありませんよ。」
「じゃあ変身は?」
「できません。服装を変換させる技術なんて、どれだけの労力が必要だと思っているんですか。」
「ちぇ〜。」
そう言いながらも、やっぱり楽しそうにしているアコであった。


「・・・ただいまァ〜〜〜。」
「お、帰ってきた。お帰り、ルイン。お疲れ様。」
「お疲れましたー。」
そういうなりルインはテーブルの椅子に腰掛け突っ伏す。そんなルインにレックはお茶を出しながらも
「飲む前に手を洗ってきてね。」
衛生面のことは忘れない。
「ルインさんが外出するとは、明日はスーパーセルが起きますかね?」
「何をどう考えたら僕の外出と自然災害が=で結ばれるのか説明よろ。」
ルインは結局手を洗うのがめんどくさく、それなら手を使わなければいいとばかりに器用にコップの淵をくわえながらお茶を飲む。その状態で横目でジト目をする。
「それだけ珍しいことだと思って頂ければ構いません。それで、なんの用事だったんですか?」
気だるそうに答えるルイン。
「ん〜?ちょっと治安所の方に呼び出されてね。」
「ああ、そうですか。今度は何ヶ月、いや、何年の懲役を食らったんですか?」
その言葉に、ルインはさらにジト目を強化させた。
「誤解を奨励するような発言やめてくれないかな。なんだかんだ言って僕は今まで一度も臭い飯を食べたことはありませんが?」
「イメージというものは恐ろしいものですよ。それで?なぜまた治安所に呼ばれたんです?」
その至極当然のツェリライの質問に、ひじょ〜に説明メンドくさいですオーラを全開にさせるルイン。
「ん〜〜〜。話長くなるけどいい?」
「ええ。構いませんよ。」
「うん、あたしも聞きたいな。」
「ボクも気になるよ。」
「しょ〜がないな〜。」



数十分前、ポストに届いていた通知を見たルインは、治安所に来ていた。
しばらく待たされたあと、奥に案内され、ある部屋の扉の前に立つ。
その扉の向こうにいたのは、ヒネギム係長だった。
「お前とは腐れ縁上よく顔を合わせるが、こういった場では初めてだな。」
ここは、応接間である。本来なら、ちょっとしたお偉いさんなんかが通される部屋である。
「ほんとだね。なんかもう完全に気後れしちゃってるんだけど。」
その言葉に、ヒネギム係長は怪訝そうな顔をする。
「お前にそんな感性があったのか?」
「ねぇ、度々思うんだけどさ。みんな僕をどういう目で見ているのかねぇ?」
「傍若無人。危険人物。挙げて言ったらキリがないが、この際だから挙げていくか?」
その提案に、ルインは勘弁してくれ。こんな居心地悪いところに長時間いたらじんましんになるとばかりの表情で丁重にお断りした。
「それで?要件って何?」
「ん?ああ。お前、今万事屋やってるんだよな?」
「うん、AROのことだね。それがどうかした?」