運ぶのもと言えば
「高い報酬もらった上にこんな美味いものが食えるなんて、それもこれも俺がこの仕事を見つけてきたおかげぐへっ!」
「調子に乗るなジューク。マフィアに絡まれたり大立ちまわりしたりする羽目になったのはどこの誰のせいだ」
「いやぁあははははは」
「笑ってごまかすな」
「ハイ・・・すんません・・・・・」
俺は小さくなってリュスに謝った。まあなんだかんだ言ってやっぱり悪いのは俺なわけだ。リュスには迷惑をかけてしまったので、これ以上余計なことは言わないこととする。
「お、花火だ」
セルツ地区の夜空に色とりどりの炎の花が咲いている。十万発というだけあって音がうるさいぐらいなのだが、それでも闇色をバックに鮮やかな花が咲くたびに、童心に帰ってはしゃぎたくなる衝動に駆られる。
「見ろよ。あれが俺たちの努力の結晶なんだぜ?」
「ほんの一部分だけだがな」
リュスは淡白にそう言って、また黙々と手を動かし始める。グラスの酒を飲みそして、
「どうせ明日からまた仕事探しだ。今日ぐらいたらふく食ってたらふく飲んでも罰は当たらん」
「確かにそうだな。よし! 飲むか!」
食っていた肉の一切れを飲み込んで、空になったグラスに酒をなみなみと注ぐ。たぶんこれも高い酒なのだろうが、庶民にとってはアルコールが入っていればなんでも同じである。酒でいっぱいになったグラスを掲げて、俺は高らかに唱和した。
「俺たちの明日を祈って、金と酒の女神に乾杯!」