紺青の縁 (こんじょうのえにし)
それにしても〈洋子のクラブ内首吊り自殺〉、霧沢は腑に落ちなかったし、信じられなかった。
まず洋子には自殺する理由が見当たらなかったのだ。洋子は一人娘の愛莉を残し、自ら命を絶って行くような女性ではなかった。
やはり誰かに殺されたのではないだろうか?
ひょっとして、宙蔵の事故死の周りにいた桜子と光樹、彼らがこれに絡んでいたのではなかろうか?
そんな疑いを持ってはみたが、二人には崩せないアリバイがあり、自殺を否定する答は見付からなかった。
その後、霧沢は忙しくもあり、宙蔵の密室内事故の時と同じように、その謎解きを専門の誰かに頼み、解き明かして欲しくもなった。
しかし現実には、当局がすでに自殺と断定してしまったこと、そんな依頼をすることも諦めざるを得なかったのだ。
作品名:紺青の縁 (こんじょうのえにし) 作家名:鮎風 遊