小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

紺青の縁 (こんじょうのえにし)

INDEX|45ページ/165ページ|

次のページ前のページ
 


 カーテンの隙間から差し込んでくる朝の日射しが目映い。霧沢は目を覚ました。
「あれっ?」
 あんなにも激しく、鬼気迫るほど燃えたルリが……。
 このベッドの中で、一緒に眠っているはずのルリがいない。

 霧沢はベッドから下り、バスルームの方を覗いてみた。
 ルリがこともあろうか部屋から消えてしまっているのだ。そして、霧沢はテーブルの上に置かれた一通の手紙を見付ける。
 それを手にして、まだ眠気のある目をこすりながら読んでみる。


 アクちゃんへ

 二人だけの夢の世界へ連れて行ってくれて、ありがとう。

 アクちゃんのいなかったこの八年間。
 いろんなことがあって……。
 そして、今も続いているわ。

 たとえば、ジャズ喫茶店に飾っていた花木宙蔵の〔青い月夜の二人〕の絵。
 桜子が高く買い取ってくれたわ。
 多分、なにかの口止めなんでしょうね。

 だけど、夕べアクちゃんに抱かれて、
 たとえ一時でもそんなことを忘れることができたわ。
 その上に、「アクちゃんの宿命と私の宿命は、もう一緒になったのね」と厚かましいことを囁いてしまった。

 アクちゃんが思っている通りよ。
 私は、やっぱり汚(けが)れてしまっているの。

 それに、これ以上アクちゃんに、迷惑を掛けられない。
 だから、もういいのよ。

 元の霧沢君に戻って。

 私たちの縁は、決して結ばれないものだったのかも知れないね。

 けれど……
 もし霧沢君にもっと強い気持ちがあって、
 いつかまた逢うことがあるのなら

 その時までに、私
 もう少し身も心も綺麗にしておかないとね。

                    ルリより