紺青の縁 (こんじょうのえにし)
今までの空白を一気に埋め戻すかのように、そのエクスタシーに、二人は一緒に魂を狂わせ昇華させた。
それはある意味では、ルリの「新たな宿命をちょうだい」、その要望に応えたことになったのかも知れない。霧沢は男の習性か早くも現実に戻り、ぼやっとした放心状態の中でそう思うのだった。
ルリはぐったりと霧沢に抱かれたまま目を閉じてる。しかし、そんな朦朧(もうろう)とした意識の中で、ルリが霧沢の耳元で訊く。
「アクちゃんの宿命と私の宿命は、もう一緒になったのね?」
言葉が重い。
「ああ」
霧沢は一言だけ返した。
「嬉しいわ」
ルリはそう呟いて、目から涙を溢れ出させる。そしてその涙がルリの上気した頬を伝い落ちていく。霧沢はそんな涙を軽いキッスで拭(ぬぐ)ってやる。
そして二人は実に緩やかに。中天の青白くてまん丸な月に導かれるように、いつとはなしにその深い静寂(しじま)の中へと眠り落ちていくのだった。
作品名:紺青の縁 (こんじょうのえにし) 作家名:鮎風 遊