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紺青の縁 (こんじょうのえにし)

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 霧沢とルリは今、シティホテルの一室にいる。
 カーテンを開けると、東山の山際が街の灯りと相まって、赤香色(あかこういろ)にかすんで見える。そして夜空には、月がぽかりと美しく輝いている。
 そんな風景に霧沢が見入っていると、背後からルリが寄り添ってきた。ルリはその顔を霧沢の背中に埋めるようにして、囁く。
「アクちゃん、私、本当はね……、待ったわ」

 霧沢は何も言わずに振り返った。そしてルリを優しく抱きしめた。こうして二人はどんどんと大人の愛の深淵(しんえん)へと落ちていく。
 霧沢は、ルリがセンス良く着こなしている淡いピンクのブラウス、そのボタンを一つずつ外す。ルリの可愛いブラジャーがあらわれた。
 霧沢は後ろに手を回し、それを外した。すると目の前に、プルンとルリの乳房が露(あら)わになる。ルリはもう覚悟をしているのか、特に動じていない。むしろこの時を待っていたかのようでもある。

 ルリは霧沢の目にそれらを押し付けるように前に立つ。霧沢はそっと手で触れてみる。それは今までのどんな乳房よりも綺麗で弾力があった。
 そして、霧沢はゆっくりとそこへと唇を運び、乳首にキスをする。
 その後、それをそっと口にふくむ。コロコロとした感触が口の中でする。それを舌でツンと突っついてみた。
「うっ」
 ルリの嗚咽が洩れた。霧沢はもう止まらない。しかしそんな時に、ルリが囁いた。
「ねえ、アクちゃん、シャワーをさせて」

 ルリはきっと綺麗な身体で愛して欲しいのだろう。霧沢は「そうだね」と一言だけ返した。そしてルリは、足早にバスルームへと入って行った。

 今、霧沢は窓際でのルリの乳房の余韻を感じながら、ベッドの上で寝っ転がってる。何気なく点けたテレビからはニュースが流れている。
 霧沢は別段それに興味があるわけではない。ただぼやっとした時の流れに身を任せているだけ。それは少しざわついたBGMのようなもの。
 遠くの方からはザーザーというシャワーの音が聞こえてくる。多分ルリは、ノブを全開にして、身体を洗っているのだろう。

「もし八年前のあの時に、このようなことになってしまっていたとしたら、二人の人生は変わり、そして今は、どうなっていたのだろうなあ」
 霧沢はそんなことをぼんやりと考えた。そして、おもむろにベットから滑るように抜け出した。霧沢は服を無造作に脱ぎ捨て、素っ裸となりシャワー室へと入って行った。