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紺青の縁 (こんじょうのえにし)

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 確かルリは言っていた。
「知り過ぎない方が良いこともあるのよ」と。

 霧沢は今、そんなとんでもない、そして危険過ぎる疑念を一層深くしつつある。
 こんな四つの出来事を、早く完璧に解決済みとしたい。
 いや、全部忘れてしまいたい。

 渡月橋の橋の向こうへと渡ってしまえさえすれば、これからの妻ルリとの穏やかな第二の人生がきっと開かれるだろう。
 どうもそのような気がする。

 霧沢はルリの手をしっかりと取った。
「ルリ、そうだよ、俺たちは紺青の縁で結ばれているから……。新幹線のホームでプロポーズした時に誓った通りだよ。ルリを永遠に愛し抜く、だから何があっても……、ずっと守っていくから」
 霧沢亜久斗は何かが不安で、もう一度自分の気持ちに念を押すかのように声を上げた。

「アナタ、きっとよ。これからも……、私を守って!」
 ルリがいつになく、大声で叫び返してきた。

 この後、二人は決して後ろを振り返ることなく、急ぎ足で西から東へと橋を渡って行った。
 そして橋の東の袂へと辿り着いた。
 霧沢はなんとなくほっと一安心する。

 そんな時だった。
 袖口がすり切れ、くたびれたジャケットを着た男が二人の前へと歩み寄ってきた。
 そして、黒い警察手帳を差し出し、低い声で告げたのだった。

「霧沢ルリさんですね。……、任意同行願います」


                        おわり