紺青の縁 (こんじょうのえにし)
霧沢は早速調べてみる。そしてわかったのだ。
龍二には、真由美という妻がいた。
どうもこの真由美こそがすべてのキーを握っているようだ。
そして、霧沢が探し求めてきた〈誰か一人〉だと手応えを感じるのだった。
霧沢は推理がここまで展開してくると、三十年の歳月の流れの中で起こってきた四つの出来事の全貌をもっと知りたくなってくる。もうじっとしていられない。
ルリは以前に、「知り過ぎない方が良いこともあるのよ」と言っていた。だが霧沢は、もう龍二の妻、真由美に会ってみたくて、その気持ちが抑えられない。
それは街に祇園祭のお囃子が聞こえてくる初夏の頃だった。霧沢、六十歳は、ルリには内緒だったが、暮れなずみゆく夕暮れ時に、先斗町(ぽんとちょう)の路地裏にある花木龍二の小料理店を訪ねて行くのだった。
作品名:紺青の縁 (こんじょうのえにし) 作家名:鮎風 遊